研究課題/領域番号 |
20K13587
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大神 正道 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (90581603)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 技術マネジメント / 技術進歩 / S曲線 / 脱成熟 / スタートアップ / IPO / フロート法 / 情報通信産業 |
研究実績の概要 |
2022年度は大きく2つの研究実績に分けることができる。1つは、東北大学の一小路武安氏、東洋大学の中野剛治氏とのスタートアップ企業に焦点を当てた共同研究による成果である。前年度にプレプリントとして発表したマクロ環境がスタートアップ企業のIPOに与える影響に関する成果(一小路・中野・大神, 2022)を、『Annals of Business Administrative Science』誌に投稿し、「Hot market (Abenomics) impact on the time to IPO」として掲載された。また、共同研究を進めるにあたって構築した「日本の情報通信産業のIPOデータベース 2009-2015」というデータセットも発表している。具体的には、2009年から2015年までの日本の株式市場に上場した情報通信産業の企業のデータ(企業名、上場市場名、上場年月日、実質設立年月日、上場年数、起業タイプなど)が含まれている。 もう1つは、技術進歩のS曲線に関する研究成果である。プロセス産業における技術進歩のS曲線の形成過程とその脱成熟の要因を探ることを目的とした研究で、『国際地域経済研究』誌に掲載された。具体的には、板ガラスの成形技術、とりわけ現在においても支配的な技術であるフロート法を対象とし、特許出願動向のデータを収集・検討している。その結果、フロート法のS曲線は、建築・自動車用ガラス市場で形成されたように見えるが、液晶ディスプレイ用ガラス市場の誕生によって、さらに伸展する様が明らかになった。さらに、この技術の脱成熟と言える現象は、既存市場に留まった欧米企業ではなく、新市場に進出した日本企業が牽引していたことがわかった。つまり、プロセス産業における新たな顧客の出現が、技術の脱成熟に影響を与えている可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
若干の遅れが生じていると考えている。2021年度に引き続き、再びコロナ禍のような状況が生じても対応できるように、データベースに新しい情報の追加等の作業にエフォートを費やした。また、そのデータから可能な分析や追加のインタビュー調査等に関する議論を進めていた。以上の理由からもともとの研究課題について遅れが生じてしまったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度(最終年度)はこれまでの研究の進展をまとめることに焦点を当てる。複数の技術が競合・併存する期間に焦点を当て、技術的認識がどのように変化(収束あるいは、さらなる発散)していくのか、そのメカニズムの一端について明らかにできるように、追加的なインタビュー調査等を実施して論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は前年度に構築したデータベースの分析に取り組んだため、新たなデータベースの購入等を行わなかった。加えて、特許データを利用した事例の作成に時間がかかったこともあり、インタビュー等の追加調査を行うことができなかった。次年度には追加調査の実現や学会出席、必要であれば改めてデータベースの購入のために使用する予定である。
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