研究課題/領域番号 |
20K13604
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
丸山 一芳 京都橘大学, 経営学部, 准教授 (30508320)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 産地 / 産地一体型オープンファクトリー / オープンファクトリー / 知識創造 / 知識移転 / 産地の変革 / DX / 連携 |
研究実績の概要 |
2021年度はコロナ禍の影響が続き、リサーチサイトとして予定していた各地のオープンファクトリーイベントが延期・中止になったりしたが、想定外の進化を遂げて産地の新たな知識創造を観察することができた。このため当初計画よりも研究の進捗は遅れた。そうした2021年度の大きな遅れの影響を受けた2022年度はリサーチサイトにおいてコロナ禍との共存の方法論が確立されたり、コロナ禍の影響が減少するなどしていた。そうした状況下においても、新たにオープンファクトリーを開始した神戸市などの取り組みについて追加リサーチサイトとして調査を実施した。また、経年で観察してデータを取得している京都府の「DESIGN WEEK KYOTO」、大阪府の「FactorISM」、「みせるばやお」、福井県の「RENEW」、新潟県の「工場の祭典」といったオープンファクトリーイベントがどのように産地として取り組まれ、コロナ禍も踏まえた進化をしてきたのかを観察できた。 また、そうした調査結果による知見をいかして、経済産業省近畿経済産業局による調査事業の研究会に招聘され委員(座長)としてオープンファクトリーイベントの今後のあり方や来る2025年の万博との連携や方向性について近畿地方各地の産地でオープンファクトリーを手掛ける主催者の皆さんと議論した。 これらの研究活動で得たデータによって、産地のイノベーション創出プロセスと行政支援の関係性について大阪府の「FactorISM」 の事例分析を日本地域政策学会第21回全国研究大会において発表した。また、大阪市の「大正・港オープンファクトリー」をけん引し、大正区のものづくり産地にDXをもたらしている企業の変革プロセスについて日本企業経営学会第20回全国大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による2020年度、2021年度の研究計画の大幅な修正の影響により2022年度内に当初計画の調査・研究を終了することができなかった。これには、2021年度の研究代表者の所属大学変更による研究拠点の変更と担当業務の変更があったことも影響している。 2022年度前半に研究プロジェクト終了までの計画を再度修正して2023年度に終了を延期して再スタートすることとした。 データ収集活動は、順調に進み、当初計画とは異なるデータセットとなったため分析の方法や方向性を修正した。その修正の方向性で学会発表は二件実施できたので、これらを論文形式で2023年度は発表していく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに主に新潟県燕三条地域、福井県、京都府、大阪府の5つの産地におけるオープンファクトリーイベントを中心とした産地の地域イノベーションについ てフィールドワークやインタビュー調査によってデータを収集してきた。さらに、大阪府内での3つの産地が異なる方向性で活動をはじめたことや、兵庫県神戸市や和歌山県などにもそのムーブメント波及していくプロセスをデータとして収集できた。 ここまでの本研究の議論において、中小企業が集積する産地のイノベーションプロセスを考察するうえで地域の政策や政策担当者のリーダーシップなどが大きく 影響することと、産地をこえた産地のキーパーソン同士による交流が切磋琢磨を生み、知識移転を促進して新たな知識創造を生むことも明らかになった。そのことを踏まえて、産地のイノベーションと政策の関係性についても議論し発表できた。そうした知見は広く社会的ニーズがあり、経済産業省や各府県行政から知見の共有依頼要請がある。今後もそういった要請には積極的に対応して協力していく。 さらに、これまでの成果を含めて、本研究全体の議論を書籍としてまとめていく作業を進めていく。そのために、まだ不足しているデータをさらに収集しなが ら、執筆を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から2022年度までの3年間での研究計画が、コロナ禍によるリサーチサイトでの調査活動とリサーチサイトにおける大きな環境変化があったためデータ取得の方法や計画に大幅な変更を余儀なくされたために2023年度まで調査・研究を延長することとなったので次年度使用額が生じた。 使用計画としては、遅れてデータ取得と分析のための費用として使用する。
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