研究課題/領域番号 |
20K13621
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
武谷 慧悟 駒澤大学, 経営学部, 講師 (60769917)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異文化間サービス・エンカウンター / サービス・リカバリー / 消費者アフィニティ / 補償 / 説明 / ステレオタイプ内容モデル / アタッチメント理論 / サービス・マーケティング |
研究実績の概要 |
本研究の目標は、サービス提供者と顧客との文化的背景が一致しないサービス・エンカウンター(i.e. 異文化間サービス・エンカウンター)において、好ましい顧客評価を獲得する意義およびその方法を解明することである。初年度は、異文化間サービス・エンカウンターにおいて好ましい顧客評価を獲得する固有の意義を明らかにすべく、優れたサービス・リカバリー(i.e. 苦情対応)を実施した場合の効果を複数回のシナリオ実験法に基づいて検討した。主な分析結果は以下の5点である。①優れたサービス・リカバリーを実施すると、サービス提供の失敗がなかった場合と同様もしくはそれ以上の消費者アフィニティ(i.e. 従業員の所属国に対する好意的な態度)を獲得できる。②優れたサービス・リカバリーは、消費者アフィニティを媒介し、従業員の所属国に対する再来訪意図を高める。③サービス・リカバリーの手段のうち、金銭的補償よりも謝罪のほうが消費者アフィニティの向上には効果的である。④優れたサービス・リカバリーが消費者アフィニティを高めるまでのメカニズムは、従業員の温かさと有能さに対する認知によって説明できる。⑤消費者アフィニティへの影響は、消費者が元々抱いている従業員の所属国に対する態度によって調整される。以上の分析結果について学会報告を行い、そこでいただいたフィードバックをもとに論文をまとめて投稿した(査読中)。 上記の研究に加えて、2年目以降の研究課題の予備的作業として、異文化間サービス・エンカウンターに関する文献を収集し、レビューを進めている。さらに、異文化間サービス・エンカウンター研究のフォーカスを広げる意図から、マーケティング・コミュニケーションを専門とする研究者との共同研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異文化間サービス・エンカウンターにおけるサービス・リカバリーの効果について、一定の研究成果をまとめた論文を投稿できたことから、当初予定していた研究計画は概ね達成できたと考える。ただし、新型コロナウイルスの影響により業務負担が例年以上のものになったこと、本研究課題がコロナ禍の影響を直接受けるものであるため、研究内容の調整を図る必要があったことなどから、十分に満足のいく内容に仕上がったとは言えない。積み残しがあると認識している部分については、来年度も引き続き研究に取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響により、国境をまたぐ移動が引き続き制限されていることから、異文化間サービス・エンカウンターを対象とするサーベイやインタビュー調査の実施そのものが困難な状況である。状況の改善を待って、当面は文献研究やシナリオ実験など、可能な方法によってできる部分から研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に実施を予定していたシナリオ実験の一部を見送ったことにより生じたものである。令和3年度は新型コロナウイルスの影響により、国際学会への出席に必要な渡航費用の支出も大幅に減る見込みである。令和2年度分の余剰資金とあわせて、調査費用や文献調達費用等に有効活用したい。
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