研究課題/領域番号 |
20K13623
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
古川 裕康 日本大学, 経済学部, 講師 (10756224)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 環境・社会配慮型ブランド選択行動 / ブランドへの共感 / ブランドへの信頼 / CEOの影響 |
研究実績の概要 |
本研究では,消費者による環境・社会配慮型ブランド選択行動の基礎的なメカニズムを解明することを目的としている。既存文献を整理する中で,企業トップ(CEO)の認知度や発言,ビジョンの消費者との共有傾向が,人々の物質主義傾向や環境・社会配慮型ブランド選択行動を変化させることが示唆された。 そこで本年度はまずCEOの認知度,ならびに消費者への影響度合い(以下,CEOの影響度合いと略記)と,物質主義傾向,ならびに環境・社会配慮型ブランド選択行動との関係性について検討した。本年度においては更に,CEOの影響度合いと環境・社会配慮型ブランド選択行動との直接的な関係性について定量データを収集しながら調査・分析を実施した。その結果,消費者に対するCEOの影響度合いが高まると,彼/彼女らの環境・社会配慮型ブランド選択行動が促進され,最終的に当該ブランドへの共感や信頼を高めることが明らかとなった。一方で,CEOの影響度合いが人々の物質主義傾向を変化させ,その結果として環境・社会配慮型ブランド選択行動を促進するという関係性も想定される。そこで今後は,CEOの影響度合いと環境・社会配慮型ブランド選択行動との関係性を物質主義がどのように媒介するのかについて検証を重ねる。 CEOの認知度や影響度合いは,人々の物質主義傾向を変化させ,結果として消費者の環境・社会配慮型ブランド選択行動を促進することが想定される。当初に立てた問いである「消費者に対して物質主義傾向を変化させるどのような働きかけをすれば環境・社会配慮型ブランドを選択が促進されるか」という内容に対し,現状ではCEOの消費者に対する積極的なコミュニケーションの効果が示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響によって,文献研究と事前調査の開始に若干の遅れが生じたが,最終的にはほぼ当初の計画通り研究を進捗させることができた。本年度の研究成果は最終的に1報の学会発表と2本の英語論文にまとめることができた。1本の英語論文はJournal of International Consumer Marketing誌に掲載が決定し,残りの1本についても現在査読プロセスにある。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要にて示した通り,まずはCEOの影響度合いと環境・社会配慮型ブランド選択行動との関係性を物質主義がどのように媒介・調整するのかについて新たにデータを収集しながら検証を重ねる。2021年度は本モデルを年齢,所得や国,文化圏等といった様々な条件下において比較検証し,要素間の関係性の強さが条件の違いによってどう変化するのかについて明らかにする。調査設計には多くの時間を要しないため,2021年度は得られたデータの検証に時間を掛ける。 新型コロナウイルスの影響から,本研究の進捗においても何らかの余波を受ける可能性があることを想定している。万が一,研究の進捗が遅れ調査結果の分析が2021年度中に終わらない場合,翌年度も用いながら進捗させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は新型コロナウイルスの余波を受け研究の開始時期が遅れた。そこで調査計画を調整し直し,2021年度以降も未実施分の調査ができるよう使用額を配分した。
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