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本年度は、観測されない消費者異質性の動的変化を考慮した複数チャネルにおける購買間隔モデルを構築した。消費者が商品を購入する際には、EC サイトとリアル店舗のいずれかのチャネルを選択するが、消費者がEC サイトで商品を購入する際、競合するリアル店舗の購買記録は観測されない。複数種類のイベントがある中で、競合イベントを無視した単一イベントの分析は誤った結果になることが知られている。本研究では、競合イベント下での生存時間を捉える競合リスクモデルを用いて、EC サイトとリアル店舗における購買間隔モデルを構築した。加えて、購買間隔データには、消費者個人や世帯による異質性が存在するため、本研究では観測されない消費者異質性をFrailtyモデルによって表現した。また、異質性の時間による変化を状態空間モデルにより捉え、消費者異質性を階層ベイズモデルにより捉えるモデルを提案した。提案モデルをEC サイトとリアル店舗における購買行動をシングルソースで記録したデータに適用した。結果から、提案モデルは単一チャネルのモデルよりも優れたパフォーマンスを示すことが明らかになった。加えて、チャネル間のマーケティング変数の効果の違いも明らかになった。
加えて、本年度はメディア利用をログで記録しているシングルソースデータを用いて、個人レベルの複数メディアの利用時間の変化を捉える分析を行った。具体的には、複数メディアの利用時間の傾向を潜在的なグループレベルで捉え、セグメント別のメディア利用時間の変化と、セグメントの時間による遷移を捉える隠れマルコフモデルを提案した。分析結果から、セグメントによるメディア利用傾向の違いや、COVID-19流行時期にセグメントの遷移が起きていることなどが確認された。
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