2023年度は本課題と関連性の深いテーマについて書籍の分担執筆を行った。具体的には恩藏直人・坂下玄哲編著『マーケティングの力:最重要概念・理論枠組み集』(有斐閣)内の「カントリー・オブ・オリジン」にてその成果をまとめた。 まず、カントリー・オブ・オリジン(以下、COO)研究では、その効果を読み解くベース理論に関する議論があまり行われてこなかった。そこで、ハロー効果およびスキーマ・ベースの推論をそのベース理論とし、COOがどのようなプロセスを経て製品評価に結びつくのかについて、当領域の代表的論者であるウィーン大学のディアマントポウロス教授やコペンハーゲン・ビジネススクールのジョシアッセン教授らの議論を紹介しつつ、本課題を通して申請者が2023年に発表したオリジナルのモデルを交えて説明した。さらに、COOをどのようにマーケティング・コミュニケーションに結びつけるのかについて、申請者が2022年に発表した消費者アフィニティと制御焦点理論との接点に関する知見をシェアすることで、この領域に未開拓の研究アプローチがあることを示した。 本年度は研究課題についての取り組みは既に完了していることから、これまでの研究を通して培った知見を日本商業学会関西部会11月例会、公益財団法人戸部眞紀財団での研究報告、講演にてシェアしたほか、『日経広告研究所報』にて最新の研究動向について自身の考えを述べるなどし、研究成果の発信に努めた。
|