本研究の目的は、ブランド・イメージに着目し、その概念の特徴や測定手法、また、消費者に与える影響を検討することである。 本年度は、令和2年度に行ったブランド・イメージに関する幅広いレビューを参考に、ブランド・イメージを包括的に把握することは困難と判断し、その一側面に注目した研究を行った。まず、ブランド・イメージそのものに注目するのではなく、消費者自身が感じるブランドとの一体感の高低に着目し、それが新規の消費者を肯定的に受け入れるかどうかに影響することを実験によって明らかにした。また、同一ブランドを利用する消費者間には一種の仲間意識が生まれ、それが購買行動に対して影響を及ぼすこともいくつかの調査から明らかにしている。この仲間意識は魅力的なブランド・イメージがきっかけになった生まれることが示唆される。以上、本年度検討した事項については学会や論文を通じて発表している。 研究期間全体では、ブランド・イメージの包括的なレビューを通じてブランド・イメージとはどういった概念であるか、また、それはいかに測定されてきたのか、消費者の購買行動に対していかなる影響を及ぼすのかを整理することができた。その結果に基づき、ブランド・イメージが消費者に及ぼす影響を多角的に検討することができた。また、消費者とブランドとのイメージの一致度によって、新規の消費者を受容する度合いが異なるといった、ブランド研究でこれまであまり着目されてこなかったブランドが有する負の側面についても解明することができた。
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