研究課題
若手研究
本研究は、株主提案権に関して「数」と「内容」の2つの視点から分析を行った。第1に、株主提案の数に注目した分析では、1名の株主が複数の株主提案議案を提出した企業は、1名の株主が1件の株主提案議案を提出した企業と比べて、企業規模や株式所有構造のような特性に差異があることを確認した。第2に、株主提案の内容に注目した分析では、提案理由に関する文字数や文字数に占める数字の割合が議決権行使結果に影響を与えている可能性があることを確認した。
実証会計学
本研究は、株主提案権の濫用的行使が生じる要因と企業価値に与える影響を明らかにすることを目的としている。日本の株主提案権は権利行使要件が諸外国に比べてやさしい一方で、可決された議案は法的拘束力を有するという点で特異性を有する。しかしながら、株主提案権に関する実証的証拠の蓄積は少ない。本研究で得られた発見事項は、株主提案権が企業価値の向上に資するツールであるかという学術的問いに示唆を提供する。