シナジー説ののれん概念を展開してきたIASBは,のれんの構成要素のなかでも企業結合のれんを「期待されるシナジー」によって記述しようと試みたが,企業結合における支払対価および期待されるシナジーの情報価値そのものが重視し,のれんは単なる差額として,シナジーを説明するうえでのフレームワークもしくは手段でしかないものと考えられる。 日本国内のエビデンスで検証を行ったところ,企業結合時の支払対価の金額に含まれるシナジーは,企業結合前に識別されていない継続企業のれんに含まれていると考えられ,企業結合のれんを「期待されるシナジー」とする解釈に至ることはできないと考えられる。
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