研究課題
本研究は,既存の財務会計システムを所与とした際に,経営者が種々の動機に由来し,裁量的に資本構成の変更(裁量的資本調整)を行う可能性に着目し,その実施要因,経済的影響を実証的に解明することを目的としている。検証に際し,企業の資本構成への効果が対照的である「負債比率増加型の資本調整行動」,「負債比率減少型の資本調整行動」という2種類の資本政策を措定し,それぞれについて分析・考察を行った。具体的には,令和3年度までに,①先行研究のレビューを通じた論点の整理,②検証のためのデータセットの構築を行った後,③主に「負債比率増加型の資本調整行動」にフォーカスを当て,負債と持分双方の性質を有するとされる転換社債の発行を自社株買いを同時に実施する資本政策である「リキャップCB」に関心を向けた実証研究(リキャップCB実施のアナウンスメント効果,リキャップCB実施の決定要因分析)を行った。各種研究で得られた成果については,研究学会報告,ワーキング・ペーパーおよび論文公表のかたちで発信している。研究最終年度となる令和4年度においては,「負債比率増加型」の資本調整行動から得られた成果について査読付雑誌への投稿を行うとともに,「負債比率減少型」の資本調整行動として,優先株式を用いた債務の株式化実施企業の財務的特徴についての検証を実施し,成果の一部を論文として公表した。これにより,当初の研究計画として挙げた「負債比率減少型」「負債比率増加型」の裁量的資本調整行動に関する検証を実施したことになる。その他,令和4年度中には,上記以外の研究課題に関連する研究成果として,簿記会計,企業分析に関連する書籍2冊(分担執筆),学術論文を2本(共著)を執筆・公表した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 図書 (2件)
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