研究課題/領域番号 |
20K13657
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
酒井 絢美 立命館大学, 食マネジメント学部, 准教授 (00735293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 株主優待制度 / 個人投資家 / 企業行動 / 企業情報開示 |
研究実績の概要 |
本研究は,2020年度の一部および2021年度において「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のため研究中断(研究中断期間:2021年2月1日~2022年3月31日)の状況にあった。したがって本年度4月1日より,研究を再開したところである。 本研究においては,個人投資家を重視する姿勢をとる企業(個人投資家志向型企業と呼ぶ)に焦点を当てている。個人投資家の増加を期待して企業が行う施策の1つとしての株主優待制度を中心として,本年度においては株主優待制度の導入に企業としてのどのような動機があるのかを検証した。 研究計画に基づき,先行研究のサーベイを行った上で実証分析を行った。記述的研究としての先行研究では,株主優待制度導入の動機として,株主数の増加や株式流動性の向上,敵対的買収の阻止,株価ボラティリティ,配当の代替,自社製品・サービスのアピール,節税効果といったものが挙げられていたが,実証分析の結果,先行研究にて指摘がなされているものとは別の動機も存在する可能性を示唆する結果が得られた。当該実証研究については,次年度にて論文として公表することを予定している。 金融庁の金融審議会において2018年6月に「ディスクロージャーワーキング・グループ報告 -資本市場における好循環の実現に向けて-」が公表されたことからもみてとれるように,個人投資家に対する企業情報開示と機関投資家に対するそれは,質的にも量的にも大きく異なっている。本年度の研究の結果から,株主優待制度の導入が,個人投資家志向型企業における企業情報開示やコーポレート・ガバナンスにどのように関係があるのかといった論点にも今後繋げることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴うさまざまな制約のほか,在住する市の規定に基づく濃厚接触者としての待機期間が複数回発生し長期間にわたったこと,および保育園や学校等の臨時休園・休校が相次いだことから,本年度上半期においては十分に研究を実施することが困難であった。また,文献調査に関してもオンライン上で入手可能なものだけを取り扱うことを余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り,2021年2月1日から2022年3月31日まで,研究代表者の出産に伴い「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のため本研究を中断しており,2022年4月1日に研究を再開したところである。研究再開後の研究については研究計画にて示したとおり進行しており,本年度において上述の実証研究の公表を予定している。また,併せて本年度においては先行研究サーベイから導出される理論的研究についても実施する予定である。 2024年度においては,当該理論的研究を継続するとともに,株主優待制度と企業情報開示との関係性について新たな実証研究も試みる予定である。具体的には,企業のIR担当者に対するヒアリング調査を踏まえ,株主優待制度の企業別・業種別内容まで踏み込むことを検討している。そして最終年度である2025年度においては,株主優待制度とコーポレート・ガバナンスとの直接的関係の検証も行う予定であり,手法としては理論的研究と実証研究の双方を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴うさまざまな制約のほか,在住する市の規定に基づく濃厚接触者としての待機期間が極めて長かったこと,および保育園や学校等の臨時休園・休校が相次いだことから,本年度上半期においては十分に研究を実施することが困難であったため,次年度使用額が発生した。 次年度以降の使用計画については以下の通りである。まず,昨年度まで「産前産後の休暇又は育児休業の取得」のための研究中断の状況にあったことから,新たな文献やデータ等が公表されていたため,当該文献やデータ等の入手を目的として,本年度から継続して次年度も書籍・雑誌等の文献およびPC関連機器の購入を計画している。また,調査や学会発表,研究会への参加等に伴う旅費や参加費・研究成果発発表費用等の諸費用も生ずる予定である。同様に,2024年度以降に関しても,研究・情報環境維持のために必要な消耗品費,調査や発表のための旅費および参加費・研究成果発発表費用等の諸費用が生ずる予定である。
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