研究課題/領域番号 |
20K13668
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
岡村 利恵 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特任講師 (30826607)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リーダーシップ / ジェンダー / 倫理的側面 / 男女差 / 大学生 |
研究実績の概要 |
先行する量的調査において、リーダーシップの資質や能力を1)個人、2)組織、3)国際社会の3つのレベルで整理し、コンピテンシー、倫理道徳、相互関係とコミュニケーション、使命とビジョン、国際性と社会的責任の6つの概念を設けた。 2021年度に実施した分析ではアジア5か国の大学生を対象に国際比較分析を行った。具体的には、上記に挙げた概念を前提に重要と考えるリーダーの資質や能力を細かく質問項目に落とし込み、調査対象者がそれらをどの程度重視しているかだけではなく、自らがどの程度持ち合わせいるかということについてもたずねた。なおこのデータは韓国の共同研究者によって2019年度に収集されたものである。 当該データでは日本、韓国、中国、シンガポール、そしてタイの5か国で、男女合わせて1225人の大学生から回答を得ている。ただし、サンプリングは機縁法を用いており無作為抽出ではないため本分析結果を一般化することには限界がある。 分析ではリーダーシップのジェンダー差ということに着目し、回答の平均値に有意な男女差がある項目について明らかにした。5か国で共通する結果として、リーダーの倫理的側面に近い項目、例えば、社会的責任や公平性といった項目について、女子学生が男子学生よりもリーダーに必要とされる資質や能力として高く評価していることが明らかとなった。 これらの報告はすでに所属先研究所の年次報告書において発表済みであるが、今後更なる分析結果を加えて上でリーダーシップ関連の学会誌に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は国内及び海外の学会でそれぞれ研究報告を行い、また査読あり論文には該当しないが、報告書論文も1本発表することができた。所属先では海外からの招聘教授とともに各国のリーダーシップ研究について盛んに議論することができ、また主催する側として参加した国際シンポジウムを通じてリーダーシップ研究の多様な知見を吸収することができた。2022年度はこのような蓄積を積極的にアウトプットしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策はシンプルではあるが査読あり論文を発表することに尽きる。これまでの分析では、女性管理職の職場でのモチベーションを高める要因が明らかになるなど、論文として発表するに値する十分な結果も得られており、他のエフォートをマネジメントしながら計画的に論文執筆を進めることが何よりも必要であると自覚している。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会が全てオンライン開催になり学会参加費、及び旅費の支出が不要となったため
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