研究実績の概要 |
本研究の目的は,社会ネットワークの多次元属性に着目して,ポジション・ジェネレーター法(多様な職業に従事する社会ネットワークの有無を測定するための質問項目)に基づく標本調査を実施し,そのデータを分析することで,職業異類結合の実態・要因を解明することである. 今年度の計画は,本調査の実施および,当該データ分析の成果報告である.まずは,本調査についてである.2020年の国勢調査データの職業大分類別人口構成比をもとに,市区町村を5層に分類した.各層と人口規模との間には,非常に強い相関関係があった.ゆえに,市区町村レベルのサンプリングでは,人口規模5層を使うことに決めた.各層から6つの市区町村を無作為抽出した上で,抽出された各市区町村の住民を対象に,住民基本台帳に基づき,38名の調査対象者を系統無作為抽出法から選んだ.以上の1,140名を対象に,2023年8月に,郵送調査を実施した(回収率30.4%). 次に,本調査データ分析の成果についてである.職業異類結合のパターンを調べるために,結合相手の職業以外の諸属性(ジェンダー,年齢,学歴)の類似度(同類/異類)に着目して,潜在クラス分析を行った.その結果,異なる4つのパターンが確認された.それぞれ,①同類/異類結合の半々パターン(職業異類・年齢異類,ジェンダー同類・学歴同類),②同類結合パターン(職業同類・ジェンダー同類・学歴同類,年齢は同類/異類が混在),③職業の同類/異類結合混在パターン(年齢異類,ジェンダー同類・学歴同類),④職業のみ異類結合パターン(ジェンダー同類・年齢同類・学歴同類)である.全パターンに共通する特徴として,ジェンダーと学歴の同類結合が観察された.他方,職業異類結合が観察されたパターンは,①年齢異類結合が存在するものと,②年齢同類結合が存在するものに二分していた.上記以外の知見については,成果報告書で説明する.
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