研究課題/領域番号 |
20K13674
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研究機関 | 弘前学院大学 |
研究代表者 |
藤岡 真之 弘前学院大学, 社会福祉学部, 准教授 (60405727)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダウンシフター / オルタナティブな消費 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行し、人々の警戒感が弱まったため、調査環境が改善した。これにより、本年度は4箇所の主たる調査対象地に赴き、事前に予定していたインタビュー調査を行った。また、インフォーマントから紹介してもらった別のインフォーマントに対するインタビュー調査や、インフォーマントに紹介してもらった場所で非参与観察を行った。 これらにより、次のようなことが明らかになった。 ダウンシフト志向を持つ人々の中には、社会的問題に高い関心を持つ者が複数いた。これらの対象者は、自然に親しみながら生活を送っている者が多く、とりわけ自然環境問題についての関心が高く、また、この関心が、政治的な意識の高さとも結びついている場合があった。そして、このような社会的・政治的な関心の高さは、自らが親しみ、あるいは楽しんでいる自然が失われることに対する危機感に発しているものであった。つまり、倫理的関心の高さは、その達成それ自体を主要な目的とするものではなく、生活の充実や生活の楽しみに関する具体的な経験と結びついているものであると思われる。 また、調査対象者の中には、自然環境に対する負荷を軽減するための活動を行っている者がいた。この場合、その活動は、環境問題の解決に資すると同時に、地域社会における人々の関係を形成する役割も果たしていた。そして、後者の人々のつながりがもたらす楽しみや充実感も、活動の主要な目的となっていた。この場合も、環境問題の解決という倫理的関心は、生活の充実や生活の楽しみと結びついている。 以上にみた、ダウンシフターの中にみられるある種の倫理性が、自然に親しむこと、あるいは社会関係の形成といった、生活における楽しみや充実感と結びついて形成されているという点は、本年度の研究によって得られた重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行したため、同感染症に対する人々の警戒感が弱まり、社会調査を実施する環境が改善された。これにより、先述の通り、複数のインタビュー調査および非参与観察を実施することができた。調査を実施することで、貴重な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は新型コロナウイルスに対する人々の受け止め方の変化により、スムーズに調査を行うことが可能になった。当面はこのような状況が継続することが予想される。したがって、時間的余裕のある大学の長期休暇期間を中心に、調査を積み重ねていく予定である。 ただし、不測の事態が生じた場合には、大きな移動を伴わない地域において調査を行うなど、臨機応変に対応する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度については順調に調査を行うことができた。しかし、新型コロナウイルスによる前年度までの予定の遅れが残っている。そのため、次年度使用額が生じた。これは、次年度に調査を実施する際の旅費等に充当する予定である。
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