研究課題/領域番号 |
20K13681
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
須永 将史 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (90783457)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 会話分析 |
研究実績の概要 |
2022年度は,2つの研究成果が得られた.本研究プロジェクトは診察場面の規範の解明だが,2021年度に引き続き,新型コロナ感染症の影響もあり,人々のコミュニケーションの構造に変化したかという基礎的な研究を進めた. (1)「見る」という活動に焦点を絞り,「他者の見ているものを見ること」あるいは「自身の見ているものを他者に見えるようにすること」がどのように行われているのかをあきらかにした.会話分析の手法を用いて,どのような体系的ふるまいによってローカルな見ることの達成がなされているのかを分析し論文化した. (2)新型コロナ感染症の影響下で変化した,コミュニケーションの構造の詳細を明らかにした.使用したデータは,オンラインで行われる研修場面である.本プロジェクトのテーマである「診察場面」と,この「研修場面」とは,「発言順番が厳格に管理される」という共通点がある.医療の診察場面では,医師が全体の進行を管理するのに対し,研修場面では司会が発言順番を管理するのだ.そしてどちらも,自由に発言順番を取得してよい日常会話とは異なっている.ではこの場合,医療場面と研修場面ではそれぞれどのように発言順番の取得の仕方が管理されるのか.この点の比較のために本研究が実施された. 研修場面の発言順番の管理の仕方を明らかにするため,新型コロナが与えた影響と変化に照準した.具体的には,これまで対面でなされていた活動がオンラインのビデオ通話によってなされることになったときに,発言順番をどのように取得するようになったのか,身体的ふるまいはどのように呈示するようになったのかを扱った.この変化を,本研究プロジェクトの中心的手法である会話分析の手法を用いて明らかにし論文化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,データ取得に関しては,新型コロナ感染症の影響で,おこなえなかった.新しい調査をおこなうことはせず,これまで得たデータのクリーニングをおこない,分析を進めるための整備を中心的におこなった. また,これまで整備してきたデータに基づき論文執筆を行った.論文集に一本の論文を掲載し,査読誌に共著論文を一本掲載した.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,家族規範が診察場面の中でどのように見いだせるかをさらに深く分析した知見をまとめる.今年度のうちに雑誌『認知科学』および『社会言語科学』に論文を投稿する予定である.コロナ感染により,追加のデータ収集はできなかったが,現時点で取得済みのデータで,すでに十分な量のデータ量といえる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で,予定していた学会発表,調査出張などが行われなかった. 2023年度は学会発表への参加をおこなう予定である.
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