研究課題/領域番号 |
20K13687
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
上原 健太郎 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (10782641)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 条件不利地域 / 大都市圏 / 非大都市圏 / 若者文化 / ネットワーク / SNS / 飲食店 / 沖縄 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、条件不利地域・沖縄における零細飲食店のビジネス展開について、ネットワークの形成・維持・再編といった社会学的な観点から明らかにすることである。1年目にあたる2020年度は、以下の作業を行った。 まず、条件不利地域に関する国内外の研究(主に社会学・地理学・若者文化研究)の整理・検討である。その結果、地域の産業構造に大きく規定されながら、若者たちの進学や就労、働き方が形作られており、その過程で、若者文化と呼びうるような独特のネットワーキングのあり方がそれぞれの地域の中に存在することが明らかとなった。 次に、国内で展開されている非大都市圏の若者に関する研究の整理・検討である。ここからは、大都市圏とは異なる、非大都市圏固有の若者のライフコースや働き方があることが示唆された。一方で、大都市圏/非大都市圏といった二分法的な図式そのものを相対化する試みも少しずつ蓄積されており、大都市圏および非大都市圏「固有」のライフコースや働き方が、どのような意味で「固有」なのか、その説明が今後の研究課題として示唆された。 最後に、SNSを介した若者たちのネットワーキングに関する研究の整理・検討である。ここでは、文化論的アプローチを中心に、SNSが若者の生活や文化を語る上で欠かせないものとして位置づけられてきたことが浮かび上がってきた。一方で、SNSを用いながら飲食店を経営する若者たちの実践を論じた研究が、文化論的アプローチに比べて、十分に蓄積されていないのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画段階では、2020年度の初年度において、先行研究の検討のみならず、沖縄・那覇都市圏でのフィールドワーク調査の実施と、沖縄の社会・歴史・経済に関する官公庁等の行政データの収集を予定していた。しかし、新型コロナウィルスの蔓延と、それに伴うさまざまな行動の自主規制を理由に、調査および資料収集を沖縄で実施することができなかった。そのため、SNSや音声通話を通じて、沖縄の若者たちの現状を把握するだけに留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの蔓延状況にもよるが、沖縄でのフィールドワーク調査および資料収集を2021年度中に実施する予定で計画を練り直す。沖縄への渡航が難しい場合は、SNS等を活用し、本格的にインタビュー調査を実施していく。また初年度に引き続き、先行研究の整理・検討も進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延および行動範囲の自主規制により、予定していた調査出張が実施できなかった。それに伴い、旅費、および、その他(聞き取り音声データの文字起こし委託料)が次年度使用額扱いとなった。2021年度は、新型コロナウィルスが収束した場合は積極的に調査出張を実施する予定でいる。収束が見込めなかった場合は、関連資料を積極的に購入するかたちで研究課題を進めていく予定である。
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