研究課題/領域番号 |
20K13693
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
木村 豊 大正大学, 心理社会学部, 専任講師 (70769059)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 空襲 / 記憶 / ポストメモリー / 市民活動 |
研究実績の概要 |
本年度も、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の予定通りには研究を実施することができなかった。そこで、本年度は、空襲被災地域におけるポストメモリーと市民活動について分析するための本研究全体の枠組みを再検討するとともに、可能な範囲でオンラインでのインタビュー調査などを試験的に実施した。特に本年度進められた調査研究は、次の4点である。 第一に、本研究全体の枠組みとなる記憶に関する社会学的な研究の枠組みについて再検討した。特に、文化的記憶論を中心に過去の記憶を表象する活動を記述分析する枠組みについて検討した。また、戦争の記憶に関する近年の国際的な研究動向について検討した。 第二に、これまでに入手している本研究に関わる資料の整理・分析を進めた。特に、過去に実施した調査で得られた資料や新たにインターネット上で入手した資料などを検討した。また同時に、それらの資料を検討しながら今後の調査の方向性について検討した。 第三に、オンラインでのインタビュー調査やフィールドワーク調査を試験的に実施した。特に、東京都内で空襲に関わる市民活動を進めている個人に対してオンラインでのインタビュー調査を実施した。また、オンラインで開催された空襲に関わる公開イベントに参加した。 第四に、次年度以降に本研究の中心的な調査を実施するための準備を進めた。特に、次年度は空襲を被災した地域を訪問して対面でのインタビュー調査や現地でのフィールドワーク調査ができるようになることを想定し、感染予防対策を講じながら調査を実施するための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年間の研究計画の2年目にあたる本年度も、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の予定通りには研究を実施することができず、研究全体の進行に遅延が生じた。特に本研究の中心的な調査の実施に遅延が生じた理由としては、次の3点が挙げられる。 第一に、本研究では空襲の被災地域で行われている空襲に関わる市民活動が調査対象となっていたが、その多くが本年度も新型コロナウイルス感染症の影響で活動の休止を余儀なくされており、そうした活動に対しては調査を実施することができなかった。 第二に、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、本年度は空襲の被災地域で空襲に関わる市民活動を進めている個人に対してオンラインでインタビュー調査を実施することを計画していたが、調査の準備に時間を要したため、試験的な調査にとどまり、本格的な調査を実施することはできなかった。 第三に、本年度も、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究以外の各種業務に多くの時間を要することになり、研究のために十分な時間を確保することができなかった。 以上の点から、本研究の進捗の遅れは、主として新型コロナウイルス感染症の影響で生じたものであり、やむを得ないものであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後(3年間の研究計画の3年目)は、1・2年目に進めた調査研究の成果を踏まえて、また、新型コロナウイルス感染症をめぐる社会の状況を考慮しながら本研究の中心的な調査を進めていく。具体的には、次の4点において調査研究を進めることを予定している。 第一に、前年度に引き続き、本研究全体の枠組みとなる記憶に関する社会学的な研究の枠組みについて検討する。特に、記憶と市民社会との関係について記述分析する枠組みについて検討する。 第二に、前年度に引き続き、空襲の被災地域で空襲に関わる市民活動を進めている個人に対して、オンラインツールを用いたインタビュー調査を本格的に進める。特に、空襲の被災地域では現在、非体験世代によって空襲に関わる活動が行われているため、そうした活動者個人に対する調査を進める。 第三に、空襲の被災地域で行われている空襲に関わる市民活動に対して、オンラインツールを用いたフィールドワーク調査を本格的に進める。特に、空襲の被災地域では現在、空襲に関わる公開イベントなどがオンラインで開催されているため、そうした活動に対する調査を進める。 第四に、新型コロナウイルス感染症をめぐる社会の状況を考慮しつつ、可能な範囲で、空襲を被災した地域を訪れ、対面でのインタビュー調査および現地でのフィールドワーク調査を実施する。特に、可能であれば、東京都と愛知県を中心に、複数の空襲被災地域において調査を進める。 また、以上の調査を行いながら、調査を通して得られた資料の分析を進め、その成果を学会で報告するとともに論文として学会誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度も、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の予定通りには研究を実施することができず、研究全体の進行に遅延が生じたため、予算の一部が次年度に使用することとなった。特に、当初の計画では調査のための旅費が予算の中で大きな割合を占めていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で調査先への出張が難しい状況が続いたため、本年度も旅費の支出を行わなかった。そこで、本年度未使用分の予算は、特に次の3点において使用することを予定している。 第一に、新型コロナウイルス感染症をめぐる社会の状況を考慮しつつ、可能な範囲で、研究協力者とともに空襲を被災した地域を訪問するための旅費に使用することを予定している。第二に、空襲を被災した地域において対面でのインタビュー調査や現地でのフィールドワーク調査を実施する際の感染予防対策のための消耗品費に使用することを予定している。第三に、オンラインツールを用いてインタビュー調査およびフィールドワーク調査を実施する際の補助作業や調査で得られた資料の整理作業に対する謝金に使用することを予定している。 以上の点から、本年度生じた未使用額は、今後の研究の中で有効に使用することができると考えられる。
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