| 研究実績の概要 |
これまで、本研究では、認定NPO法人もやいと連携し、結城翼さんや、宮田りりぃさんとともに、非シスジェンダーや異性装者の人たちで、福祉制度を利用したことのある人たちにインタビューを行ってきた。その成果物として、Yuki & Ishii(2023)Cisgenderism in Japanese social welfare systems: experiences of gender-nonconforming people in poverty, Social Theory and Dynamics 4 105-116がある。トランスジェンダー等で生活保護制度を利用した経験のある人びとへのインタビュー調査などから、生活保護制度の運用に組み込まれたシスジェンダリズムにより、一時的な宿泊施設の利用や訪問看護等の福祉的サービスの利用の際にトランスジェンダー等が困難に直面していることを指摘している。また、現在、これについて、さらに考察を深めた論文も執筆中である。 しかしながら、ケース数が少なく、また制度利用者からの視点のみに依拠しているという限界がある。そこで2024年度は、トランスジェンダー等の要/被保護者に対する相談対応の実態及び課題を明らかにすることで、非シスジェンダーの人たちを取り巻く差別的な構造を把握することを目的とした調査を実施した。全国の政令指定都市および中核市に設置されている福祉事務所328箇所に対して質問紙を送付している。生活保護制度という限定的な局面ではあるものの、公的な制度の運用に際して表面化する差別的構造を明らかにするとともに、行政がいかにしてそれに対処している/していないのかを検討することが期待される。
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