研究課題/領域番号 |
20K13710
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大坪 真利子 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (20801773)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カミングアウト / 個人化 |
研究実績の概要 |
本研究は、ゲイ・レズビアン当事者の現代社会における「カミングアウト」について、その日常的な選択をめぐる経験に着目して理解しようとするものである。2020年4月時点では、2020年度9月上旬~2021年度12月下旬の期間で、国内各地の大学に通うゲイ・レズビアンの当事者に対して、対面でのインタビュー調査を実施予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症拡大が想定以上に長引いているため、長期にわたって延期を余儀なくされた。感染症収束のめどが立たないため、本年度から既存の一次および二次資料の分析や文献調査を中心とする研究へと方針転換がおこなわれた。 本年度は主として、同性愛者にとってのカミングアウトをめぐる日常的な問題経験とその変容について経験的および理論的な検討を行った。同性愛者にとってのカミングアウトをめぐる経験は、学術的にどのような問題として枠づけられてきたのか。また、そのように学術的に枠づけられてきた問題経験は現代社会の中でどのように変容し、どのような問題が浮上しつつあるのか。本年度はまず、これらの点に注目して、カミングアウトに関する国内外の書籍・論文などが渉猟され、二次資料にもとづく検討・分析が行われた。作業をつうじて浮かび上がってきたのは、2000年代以降のカミングアウトの脱政治化とその個人化、そしてそれにともなうカミングアウトをめぐる問題経験そのものの変化の可能性である。現在は、これら作業をつうじて得られた仮説および分析枠組みを用いて、過去に実施された調査データの再検討を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査実施による研究を計画していたが、本年度も新型コロナウィルス感染症拡大が想定以上に長引いているため、計画変更を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の作業をつうじて得られた仮説および分析枠組みを用いて、過去に実施された調査データの再検討をすすめる。考察にあたっては、2000年代以降の日本社会におけるLGBT主流化の潮流についても考慮が必要であるため、こうした現象をめぐる学術的知見について渉猟・検討する必要がある。また、社会の個人化と同性愛者にとってのカミングアウトの個人化の関係性については、その理論的な整合性をふくめ引き続き検討が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠隔地域への出張を含む、インタビュー調査の実施を本年度中に計画していたが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、調査実施の延期・中止を余儀なくされた。
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