研究課題
若手研究
本研究では、レズビアン・ゲイのカミングアウトにかんする選択への直面という日常的経験について着目し、今日の日本社会においてそうした負担がどのような形で同性愛者に割り当てられているのか、について主として考察した。本研究の主要な成果は次の点である。「カミングアウトの個人化」、および、カミングアウトが当事者の主観において問題化する一つの条件としての「異性愛前提的相互行為」の指摘、そしてカミングアウトの選択を主観的に問題化させる社会的機制の分析視座の提案、である。
社会学
本研究の知見は、カミングアウトについての選択自体の負担を性的マイノリティに課している既存社会のあり方を、批判的に問い直すという点で、社会的意義をもつ。またその成果は、国内外の従来の同性愛者のカミングアウト研究が扱ってきた問題と枠組みについて再考を促すものといえる。本研究は、今後、さまざまな社会的マイノリティのカミングアウトや自己開示にかんする経験的研究へと援用が期待される。