本研究成果の学術的意義と社会的意義は、つぎの3点である。 まず、本研究は、これまで看過されていた、台湾戒厳令時代における中国大陸籍軍人の社会史を明らかにした。 つぎに、1950年代から1980年代における<青年兵士>の生活史は、戒厳令解除以降の台湾社会を理解するための原点となる。 さらに、<青年兵士>を主体とする大陸籍軍人への差別は、現代台湾の外来者に対する排除構造の源となる。 総じていえば、1990年代、いわゆる民主化の道を歩み始めて以降の台湾社会を考察するには、まず、それ以前の権威主義体制の最前線に立たされた大陸籍軍人の社会史を理解しなければならない。
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