補助事業期間(2020年度から2022年度)を通して、国家レヴェルの児童保護政策および州レヴェルの政策展開の分析、検討を中心的に取り組み、併せて、民間レヴェルの児童保護事業についても史料収集と整理に着手した。 〔課題1〕国家レヴェルの児童保護政策:2020年度より全米慈善矯正会議の議論の検討を行なったほか、2022年度には全米保護観察協会の年次報告書および議事録について収集・分析を行った。成果発表は後述する。 〔課題2〕州レヴェルの児童保護政策:上記の課題1の分析結果と合わせて、2020年度より進めてきた史料収集・分析をもとに、最終年度である2022年度は主に成果発表を行なった。カリフォルニア州のホームティーチャー・プログラムについて、日本アメリカ史学会第19回年次大会において個人発表を行い、同内容の投稿論文が2023年度発行の学会誌に掲載予定である。また、カリフォルニア州の保護観察制度については、2021年度に教育史学会第65回大会において個人発表を行い、同内容について『広島大学大学院人間社会科学研究科紀要 教育学研究』に投稿、「1900年代-1910年代カリフォルニア州における保護観察制度の展開-都市公立学校との関係に着目して-」という題目で掲載された。さらに、2022年韓国社会福祉歴史学会において、アメリカの保護観察制度の医療化について個人発表を行った。なお、同発表内容については、2023年度出版の共著書籍にて成果を発表予定である。 〔課題3〕民間レヴェルの児童保護のネットワーク構築:民間団体の一つとしてカリフォルニア子どもホーム協会に焦点を合わせ、カリフォルニア州立図書館等を通じて史料収集を継続した。しかしながら、現地調査を行えなかったことの弊害もあり、十分な史料収集を完了できなかったことから、〔課題3〕については成果発表には至らなかった。研究を継続したい。
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