研究課題/領域番号 |
20K13736
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
岩田 千亜紀 東洋大学, 社会学部, 助教 (40801478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 障害 / 性暴力被害者 / ソーシャルワーク / ICT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、障害のある性暴力被害者への相談支援にかかる国内外の現状と課題を踏まえた、ソーシャルワーク実践のあり方について考察することである。本研究では、国内外での文献研究や、関連機関へのアンケートやインタビュー調査を通じて、障害のある性暴力被害者への中長期にわたるソーシャルワーク支援の在り方を考察し、障害のある性暴力被害者の生活支援に寄与すること目指している。 2020年度については、障害のある性暴力被害者へのICTを活用したソーシャルワーク支援の検討を目的として、先行研究および支援者へのインタビュー調査を行った。その結果、性暴力被害者への支援においてICTを活用することは有益であり、障害のある性暴力被害者への支援に当たっては、より有益であることが明らかとなった。また、ICT活用の課題として、人材の育成のほか、障害者へのICT活用方法に関する教育や啓発活動、支援者の障害のある性暴力被害者への理解の向上、被害相談の出口に向けたソーシャルワーク支援などが重要であることが明らかとなった。この調査の結果については、中国で開催された「中国・北欧社会福祉国際フォーラム」(オンライン開催)や、日本社会福祉学会2020年度関東地域ブロック研究大会でも発表を行った。 さらに、2020年度には、障害のある性暴力被害者の実態や支援の現状と課題を明らかにし、ソーシャルワークに求められる役割について考察することを目的として、統計資料や各種の調査についての研究を実施した。その結果、障害のある性暴力被害者への支援には、様々な課題があることが明らかとなった。この調査の結果については、現在、査読付き論文に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画書に基づき、2020年度には、性暴力被害者への相談支援におけるソーシャルワークについての文献研究を実施することができた。また、支援機関へのインタビュー調査も実施することができた。さらに、研究結果については、国際学会でも発表することができた。そのため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、研究計画書に記載したとおり、国内における性暴力被害者への相談機関に対するアンケート調査およびインタビュー調査を実施する予定である。具体的には、性犯罪・性暴力被害者のための「ワンストップ支援センター」や「犯罪被害者相談支援センター」などを調査対象とする予定である。調査を通じて、相談機関における障害のある性暴力被害者への支援の現状と課題、ソーシャルワーク支援のニーズや課題等について明確化したい。 なお、2022年度については、研究計画書では海外におけるインタビュー調査を実施する予定であったが、コロナウィルスの感染拡大のため、実施が困難となる可能性がある。その場合には、計画を変更し、障害のある性暴力被害当事者や家族を対象とした調査を実施することを検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度については、学会等の発表旅費などを計上していたが、コロナウィルス感染拡大に伴い、学会についてはすべてオンライン開催となった。そのため、旅費の支出がなかった。さらに、インタビュー調査についても、すべてオンラインで実施したことから、それらの経費を計上することがなかった。 2021年度については、主にアンケート調査およびインタビュー調査を進める予定であることから、これらに関する経費についての支出を行う予定である。
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