研究課題/領域番号 |
20K13736
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
岩田 千亜紀 法政大学, 現代福祉学部, 助教 (40801478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 障害のある性暴力被害者 / 相談支援 / ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
2023年度に実施した障害のある性暴力被害者を対象としたweb調査の結果について、日本社会福祉学会第71回秋季大会 (2023年10月15日開催)で発表を行った。学会では、性暴力被害を受けた障害者の約50名からの回答結果のうち、加害者は友人や養親など、近い人からが7割以上に上ったことなどについて発表を行った。また、被害者が被害を相談した際、知的障害のある人から「伝えるのが苦手なので信用してもらえなかった」など、被害が把握されにくい実態や2次被害の実態があることを明らかにした。本調査は、国内における障害のある性暴力被害者を対象とした初の包括的調査である。そのため、同学会での発表内容については、テレビおよび新聞などのメディアでも多数報道された。なお、同調査の結果については論文に取りまとめ、現在学会で査読中である(今後、英語論文として公表を予定)。 その他、日本発達障害学会からの依頼を受けて「発達障害と性暴力被害ー実態とリスク要因およびその背景ー 」という総説論文として発表を行った。さらに、きょうされん(旧共同作業所連絡協議会)からの依頼を受けて月刊誌である月刊きょうされんTOMOにおいて、「障害女性への性暴力の現状と課題 」について寄稿を行った。 さらに、これまで行ってきた障害のある性暴力被害者への調査結果を発展させ、2024年3月には、法政大学の紀要である『現代福祉研究』において、「不可視化されてきた男性、性的マイノリティ、障害者の性暴力被害と被害者支援 」と題した論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に実施した障害のある性暴力被害者を対象としたweb調査アンケート調査については学会で発表済みであり、現在、論文の査読結果待ちである。当初は2023年度内に論文発表を行うことを予定していたが、年度内に査読が終わらなかったため、当初の科研費の予定を1年延長することとなった。査読結果を受けて、英文論文として今年度中に発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施した障害のある性暴力被害者を対象としたweb調査アンケート調査に関する論文について査読結果を受けて修正を行い、英文論文として公表を行う予定である。 その他、これまでの研究結果を踏まえて、2025年1月には、明治安田こころの健康財団からの依頼を受けて、「自閉症・発達障害と性暴力被害―その理解と支援―」という題名で、研修講師を務める予定である。同研修の受講対象は、自閉症・発達障害や特別支援教育に携わる学校関係者のほか、保育・相談に関わる専門職・保護者等となっている。研修の機会を通じて、これまでの研究成果について広く発信を行い、支援の充実に繋げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、英文論文の校正料のためである。2024年度については、2023年度に実施した障害のある性暴力被害者を対象としたweb調査アンケート調査に関する論文について英文論文として公表を行う予定であり、謝金として支払うことを予定している。
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