研究課題/領域番号 |
20K13737
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
菱ヶ江 惠子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 講師 (80852706)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がんサバイバーシップ |
研究実績の概要 |
本研究では、小児がん経験者が治療終了後も、小児がんの既往や治療の影響でさまざまな課題を抱えることがある点に着目し、治療終了後のトータル・ケアの実現を目指してサポートプログラムを開発することを目的としている。今年度は暫定版プログラムの構築と改良に向けた調査を実施予定であった。また、前年度の研究成果として明らかとなったサポートプログラムの要素として取り扱うべき項目(長期フォローアップや晩期合併症に関する情報提供や受療支援、就労・就職支援、復学支援など)に関し、更なる文献レビューの必要性が示唆されていた。 そこで今年度は、文献レビューについては先行研究だけではなく、相談員向けの就労支援に関する研修テキストやがん医療にかかわる専門職養成に関する市民講座、シンポジウム等の資料を広く収集し、サポートプログラムの要素となる項目について、がん患者のQOLの視点から情報を収集した。その結果、がん経験者の生き方に関する概念である「がんサバイバーシップ」やそれに関する4つの側面(身体的、心理的、社会的、スピリチュアル)および4つの時期(急性期、延長期、安定期、終末期)の概念が提示されていることがわかった。この概念を枠組みとしてサポートプログラムを実施する際の対象者の設定やサポートプログラムで取り扱う項目の整理に活用できる可能性があると考えられた。 しかし調査の実施に関しては、新型コロナウィルス感染症の流行により影響が生じている。今後は当事者や、サポートプログラムの実施に関わる可能性があると考えられる専門職を対象に、調査を実施しニーズや現状に合ったプログラムについて暫定的な枠組みを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は新型コロナウィルス感染症の流行により、研究遂行および教育面の業務に関しても影響が生じた。インタビュー調査の実施にあたっては、遠隔での実施についても検討したが、同時双方向のやり取りの円滑な実施の可能性や、インタビュー調査協力者の通信環境の課題などを考慮し実施に至ることができなかった。また、実習の調整、日程変更、学内実習の実施などがあり十分にエフォートを割くことができなかった。そのため本研究は、予定していた研究計画よりも遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症感染流行の影響を踏まえ、当初予定していた調査枠組みの修正を検討する。新型コロナウィルス感染症流行の状況によっては今後もインタビュー調査の実施に影響する可能性があるため、質問紙調査を優先的に行いニーズや現状の把握を行ったうえで、その詳細についてインタビュー調査を実施する。もしくは質問紙調査の際に必要に応じて記述回答を求めることなどを検討する。 調査ではサポートプログラムの対象とする小児がん経験者およびサポートプログラムの運営に携わる専門職の両者を対象に実施する。両者のニーズやサポートプログラムの内容の妥当性、サポートプログラムの実施・運営にあたっての課題と必要な支援について確認する。そのため今後の研究内容としては、①サポートプログラムの要素として取り扱うべき項目(長期フォローアップや晩期合併症に関する情報提供や受療支援、就労・就職支援、復学支援など)に関して、小児がん経験者に生じると考えられるニーズの整理、②前項で確認したニーズの妥当性の確認のための質問紙調査、③サポートプログラム実施・運営の現状と課題に関する文献レビュー、④前項の文献レビューに基づく専門職を対象とした質問紙調査、⑤以上を踏まえての暫定的なサポートプログラムの構築を目標に研究に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症流行の影響を受け調査の実施に至らなかったため。次年度は新型コロナウィルス感染症の流行状況を踏まえ、調査の円滑な実施のために、質問紙調査を優先的に行うなどを検討し、研究の推進を図る。
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