研究課題/領域番号 |
20K13741
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
渡辺 長 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (40742044)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 東南アジアの高齢化 / 介護負担 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、タイの高齢者ケアに焦点をあてケアを起点に広がる地域住民の関係性を概観し、その役割を分析するとともに、介護者が抱える介護負担を質的インタビューによって明らかにすることである。そのため、タイでのフィールドワークが必須のテーマであるが、2020年度は世界規模の未曽有の事態に見舞われ、これを実施することが叶わなかった。 一方で一昨年に実施した現地調査で得られたデータを用いてGrounded Theory Approach(GTA)にて質的に分析し論文化した。このデータは17名への家族介護者の介護負担の生成プロセスを分析したものであり、GTAを経てケアに対する動機づけと介護負担の構成要素が明らかとなった。またケアを担う構成要員が直系親族に集中していた点は、先行研究等で提示されているものとは異なる結果であり、特筆すべき点である。本研究は地域研究のジャーナルに投稿中である。 さらにオンライン講習会が世界的な潮流となったことを受け、オンラインを用いてインドネシアと日本の医療従事者を繋ぎ、家族ケアの認識の差異やアプローチの在り方について議論する研修会を開催した。日本側から100名、インドネシア側から300名もの参加があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の遂行にはフィールドワーク、現地調査が欠かせない。現状のコロナ禍が収束しない限り、新たなデータを入手することが困難な状況である。しかしながら、冒頭で説明したように過去に収集したデータを分析することによって新たな発見や論文化を図ることができているため、当面渡航が困難であっても、選考調査など情報収集や現地協力者への依頼を通じて可能な限り研究を前に進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も渡航自粛の状況が見込まれるため、引き続き現在取り組んでいる過去のデータの分析から、新たな視点を抽出し論文化を図っていく。また、本研究課題においても先行研究の調査を十分に行い、現地協力者との連携を密接に実施することにより、データの収集をできるだけ行っていく。また論文化だけでなく、オンライン研修会なども積極的に活用することで日本とタイを中心とした東南アジア諸国の情報交換と連携を推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあり渡航が叶わなかったため、計上していた旅費分の余剰金が生じることとなった。感染状況が収束次第、昨年度に計上していた旅費を使用計画に則り活用する。また今年度も渡航が叶わなかった場合には、統計ソフトの購入や論文の投稿費用に充てたい。
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