研究実績の概要 |
本研究の目的は、タイの高齢者ケアに焦点をあてケアを起点に広がる地域住民の関係性を概観し、その役割を分析するとともに、介護者が抱える介護負担を質的分析により解明することである。そのため、タイでのフィールドワークを予定していたが、昨年度までコロナ禍の影響により訪問が叶わなかった。2022年度は渡航が緩和されたたため、2度現地訪問をすることができたが、感染対策の観点から直接の在宅訪問には至らなかった。代わりに現地の研究協力者(Jiraporn Chompikul, Mahidol University)らとの協議を行い、2023年度以降の訪問スケジュールや得られたデータの解析手法について話し合う機会を持てた。2022年度の具体的な実績としては以下の論文を一本出版したことである。 【タイ地域高齢者における転倒要因に関する分析, 保健医療学雑誌13(2), P54-61, 2022】 これはタイのノンタブリにあるデイサービスに通う高齢者75名の転倒履歴と転倒に与える要因について分析した論文である。結果として立ち上がり能力、腰・膝の痛み・握力といった機能障害に加えて転倒恐怖感という心理的要因も関連していることを明らかにした。本論文の校正及び分析を主に担当した。 なお、今回の訪問を契機とし、5月20日にタイのマヒドン大学の教員らとオンラインにて学術大会を開催すこととなった。主にタイと日本の理学療法学生や有資格者の参加が見込まれている。
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