研究課題/領域番号 |
20K13743
|
研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
大平 剛士 大阪商業大学, 総合経営学部, 助教 (60844090)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 高年齢介護職 / 職場継続 / 選択・最適化・補償 / 職場環境 / 人材育成 / 能力開発 / 継続雇用 / 高齢者就労 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、職場環境の整備や人材育成による能力開発が、選択・最適化・補償の3つの戦略を通じて、高年齢介護職の職場継続に与える効果を検証することである。初年度の2020年度に関しては、第1に、施設介護の高年齢介護職のOJTやOff-JTの人材育成や職務能力の向上が職務満足や職場継続意思に与える影響を検証するため、平成30年度介護労働実態調査の労働者調査データを用いた量的分析を実施した。構造方程式モデリングによる分析の結果、OJTとOff-JTはともに職務能力の向上や職務満足と正の関係があることや、OJTは職務満足を媒介した職場継続意思への正の間接効果があることがわかった。2021年度は施設介護と訪問介護の高年齢介護職の比較および新規雇用者と継続雇用者の比較を追加した分析を行う。第2に、2020年1~2月に実施した企業の従業員を対象としたインターネット調査データを用いて、短縮版選択・最適化・補償(SOC)尺度の信頼性と妥当性を確認した。その結果、問題なく尺度として使用できることが確認できたため、2021年度に実施する高年齢介護職を対象としたインターネット調査でも調査項目として含める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、平成30年度介護労働実態調査や企業の従業員を対象としたインターネット調査を用いた量的研究を進めることができた。一方で、介護領域における新型コロナウイルス感染症の感染防止の重要性を鑑み、高年齢介護職や人事担当者等へのインタビュー調査を中止した。また高年齢介護職を対象としたインターネット調査に関しても、新型コロナウイルス感染症の影響から高年齢介護職を取り巻く職場環境や人材育成のあり方が申請時から大きく変わっており、ウィズコロナやアフターコロナを考慮した調査項目の変更や追加が必要となるため、2020年度中の実施を中止した。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響は継続するものと考えられるが、高齢者介護施設の入居者である高齢者や介護従事者へのワクチン接種によって、2021年度後半には高齢者介護施設や高年齢介護職の新型コロナウイルス感染症対応の負荷が下がっていくものと思われる。高齢者介護施設における新型コロナウイルス感染症の感染状況やワクチン接種の進捗状況を考慮しつつ、本研究のインターネット調査やインタビュー調査への協力を得やすくなることが期待できる2021年度後半にそれらの調査を実施する。なお、インタビュー調査に関しては、感染防止の観点から、訪問による対面ではなく、電話等の非対面でのインタビュー調査に形式を変更する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に計画していた高年齢介護職へのインターネット調査が新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった。2021年度に当該インターネット調査を実施する。
|