研究課題/領域番号 |
20K13745
|
研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
松田 光一郎 京都文教大学, 臨床心理学部, 准教授 (70804764)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 自閉スペクトラム症 / 職場定着支援 / 継続的就労 / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症のある人または自閉スペクトラム症があり、特別支援学校を卒業した人を雇用または、雇用したことのある一般企業を対象にアンケート調査を実施した。その結果、調査内容①の「産業種」では、障害者雇用における「医療・福祉」の期待は高いといえる。調査内容②の「従業員数」では、56人未満の中小企業が過半数を占めていた。「医療・福祉」の会社では、56人以上の雇用率達成義務が係る企業が大半であった。そのため、「卸売業・小売業」「製造業」「サービス業」の産業種における障害者雇用義務が課せられていない中小企業で多く雇用されていることが伺われた。調査内容③の「業務内容」で最も多かった「清掃・運輸・包装等」をさらに中分類で示すと、「倉庫作業」「清掃」「産業廃棄物処理業」に従事する者が含まれており、これらの業務に携わる自閉スペクトラム症者が多いことがわかった。自閉スペクトラム症者の雇用は、「清掃・運輸・包装等」と2番目に多い「生産工程」に集中しているといえる。調査内容④の「障害別雇用者数」では、精神障害者と発達障害者の雇用は少なく、自閉スペクトラム症者の雇用が半数以上を占めていた。 近年、自閉スペクトラム症者の雇用者数は年々増加傾向にある一方、職場定着状況に関しては、その指標となる離職率について公表されていない。自閉スペクトラム症者の場合、一度、離職してしまうと次の就職先を見つけるまでに長い時間を要することが懸念される。また、障害当事者の希望や意向に適した会社を探していくということに大きな制約もあることから、支援者側の視点に立って自閉スペクトラム症者の就労支援の現状を探ることが、雇用継続に必要な効果的な支援を検討する上で重要だと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗に関して、おおむね順調であるが、新型コロナウイルス感染症の蔓延・拡大等の状況次第では、今後予定している就労支援事業所の支援者を対象としたインタビュー調査を実施できない恐れがある。その場合は、アンケート調査の結果から分析を行い、雇用継続に効果的な支援を実施するための条件について検討する。
|
今後の研究の推進方策 |
自閉スペクトラム症のある人の一般就労を支援する事業所の支援者の視点から、就労支援の現状を探るため、自閉スペクトラム症のある人の就労移行支援を行っている事業所の支援者に対してアンケート調査および、インタビュー調査を実施し、雇用継続に効果的な支援を実施するための条件について検討する。
|