研究課題/領域番号 |
20K13745
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
松田 光一郎 花園大学, 社会福祉学部, 准教授 (70804764)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 事業主 / 職場適応援助者 / 職場定着支援 / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
2021年度は、自閉スペクトラム症者の雇用継続を可能にする支援を指向し、職場定着に不可欠な条件について検討するため、近畿2府3県において、自閉スペクトラム症者を雇用している事業所の現状及び職場定着支援の実際を探ることを目的に調査を実施した。その結果、自閉スペクトラム症者を雇用する事業所の半数は、中小企業の製造業であり、支援学校との結びつきが強く、障害者雇用において、事業主は健康面や職業生活への配慮を重視し、就労支援事業所や職場適応援助者からの援助に期待していることがわかった。次に、自閉スペクトラム症者の職場定着支援では、職場適応援助者は雇用現場に入り、労働条件の確認や職場環境の調整などを行っていることがわかった。しかし、自閉スペクトラム症者の就業期間は5年未満が半数を占めていたことから、コミュニケーションを苦手とする自閉スペクトラム症者は、対人関係でつまずきやすく、離職後は自分に適した仕事を探し出して、次の就職先を見つけるまでに長い時間を要することもあり、自尊感情の欠損や就労意欲の低下に繋がりかねない。これまで、障害者雇用の現場で生起するさまざまな問題について、職場の上司や同僚が対応してきた。そのため、自閉スペクトラム症者の雇用継続を可能にするために必要な支援を検討していくためには、事業主や職場適応援助者を対象とした調査では不十分であることがわかった。今後は、自閉スペクトラム症者と直接関わりを持つ上司や同僚に調査を依頼し、職場適応援助者からの援助が、職場の上司や同僚に与える影響について、明らかにしていく所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス(COVID-19)による感染拡大の影響で、当初予定していた調査日程等の変更を余儀なくされたが、調査協力者の配慮もあり、現在のところ当初の研究課題に従って進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今回の調査から、自閉スペクトラム症者の雇用継続を可能にする、職場定着に不可欠な条件について検討するため、その基礎資料として、自閉スペクトラム症者を雇用している事業所の現状および職場定着支援に関する基礎資料を得ることができた。今後は、自閉スペクトラム症者と直接関わりを持つ上司や同僚に調査を依頼し、就労支援事業所や職場適応援助者からの援助が、雇用現場に与える影響について明らかにしていく所存である。
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