研究課題/領域番号 |
20K13754
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研究機関 | 龍谷大学短期大学部 |
研究代表者 |
堺 恵 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (00801862)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子どもの貧困 / 母子家庭 / 母子生活支援施設 / 少年指導員 / 保育士 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、母子家庭で育つ子どもの貧困問題に対応してきた母子生活支援施設の経験に着目し、子どもを支援する職員である保育士と少年指導員の支援内容を可視化することにある。そのために、本研究では、母子生活支援施設の保育士と少年指導員、そして施設での生活を経験した退所児童に対する半構造化面接によるインタビュー調査を行うものである。 2021年度の研究実績は、次の3点である。①四つの母子生活支援施設において、合計7名のインタビュー調査を行ったこと。②2014年及び2019年の子どもの貧困対策大綱が策定されるまでに開催された検討会や有識者会議での議論を整理したこと。③平成10年から平成28年までの間に7回報告された「全国母子生活支援施設実態調査報告書」における調査項目を抽出したこと。以下は、①から③について、明らかになりつつあることである。 ①のインタビュー調査では、子ども担当の職員であっても、母親の支援も行っているということが判った。その上で、母親と子どもとの家族関係を調整したり、母親とは別の人格として子どもを支援したりという、複雑な支援を行っていた。子どもに対しては、様々な体験をしてほしいと望み、その思いを施設の行事や支援のなかで具現化していた。また、アフターケアをインケア同様に行っている職員や、今後充実させたいと強く希望する職員がいることがわかった。 ②の検討会や有識者会議における議論の整理では、子どもの貧困対策大綱に母子生活支援施設の母親への支援が組み入れられた理由として、構成員が母子生活支援施設のどの機能について強く発言したかが影響を与えているのではないかということが示唆された。 ③の調査項目の抽出においては、子どもに関する調査項目が少ない傾向にあることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスの感染拡大により、府県をまたいだ移動の制限が強く求められ、インタビュー調査の日程に遅れや変更が生じた。大学内で勤務するアルバイト学生は、大学内への入構が制限され、依頼していた仕事に遅れがでた。 研究者自身の理由としては、インタビュー調査の分析に不慣れなため、時間がかかっていることがあげられる。以上のことから計画通りに研究をすすめることができず、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究実績を踏まえて、今後は次のように研究を推進していきたい。 ①のインタビュー調査は、予定していたインタビューを全て終えたわけではない。あと1施設の2名のインタビューを実施するとともに、定員数の多い施設の職員へのインタビューを追加したい。その上で分析を進め、施設の保育士と少年指導員の支援内容の可視化に努めたい。 ②の検討会や有識者会議における議論の整理については、論文にし、研究者の所属する大学の紀要に投稿する。 ③の調査項目の抽出については、その結果を研究者の所属する学会での報告を行い、その後、論文にして投稿する。 今年度が研究の最終年度にあたるため、確実に①~③の研究結果を出し、その成果を出版物にする準備を行いたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、コロナウィルス感染の拡大により、予定していたインタビュー調査の予定が変更・延期になったこと、学会等がオンライン開催となったこと、アルバイト学生への勤務日数が限られてしまったことが、想定していた金額より少なかったことが理由である。今年度は、インタビュー調査を確実にこなし、学会に積極的に参加するなどして、計画通りに使用していきたい。
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