研究実績の概要 |
本研究は(1)高齢者支援の好事例に焦点を当て、高齢者を必要な支援に結び付けるために有効な取り組みに関する質的検討を行うとともに、(2)「客観的にみれば必要と考えられる援助やサービス」を当事者たる高齢者自らが拒否する、いわゆる高齢者の援助拒否に焦点を当てた量的・質的検討を行うことで、「『客観的にみて必要な支援』を受け容れない高齢者をいかに支援に繋げるか」という問いに正対することを目的としている。 本研究は、2020年1月より世界的に流行した新型コロナウイルスの影響を受け、(1)の検討に必要なインタビュー調査の一部が2022年へ、(2)の検討に必要な大規模調査は2021年へとそれぞれ順延したが、いずれの調査も研究期間内に完遂することができた。 まず(1)については、2022年3月~10月にかけて、首都圏自治体における高齢者の就労支援や世代間交流を伴う産後ケア事業を担当する職員および専門職者へのインタビューを実施した。インタビュー内容については随時学会発表および書籍への掲載を行っており、現在は論文投稿に向けた準備を進めている。 また(2)については、2021年10月に、同年9月1日時点において東京都豊島区に在住する65歳以上の高齢者から無作為に抽出した15,000名を対象とする郵送調査を行い、8,363名より回答を得た(回収率:55.8%)。このうち、個人情報の提供について同意を得られた5,642名を分析対象とした(有効回収率:37.6%)。なお、本調査はサンプルサイズをより大きくするため、申請者と同じ研究機関に所属する研究者との共同で実施し、要した費用を按分して支出した。調査を通じて得たデータの使用については、共同して支出した研究者が共有して使用できる状態にある。現在までに当該データを用いた学会発表を行っており、現在は学会発表の内容を発展させた論文投稿に向けた準備を進めている。
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