研究課題/領域番号 |
20K13763
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
實方 由佳 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (90562207)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子ども虐待対応 / 調整機関 / 要保護児童対策地域協議会 / スーパービジョン / 中山間地域 |
研究実績の概要 |
2022年度は、岩手県内を対象に行った要保護児童対策地域協議会調整機関担当者(以下、調整機関担当者)を対象としたアンケート調査の分析を行った。中山間地域が多く、比較的小規模な基礎自治体の多い岩手県では、調整機関担当者に対するスーパービジョン体制については脆弱である可能性がある。そのため、業務に関する相談ができるかどうかの実態把握を行った。また、調整機関業務のなかで、どのような場面でスーパービジョンが必要となるかについて回答を求め、その回答内容を分析した。 本調査では、33市町村に配布し、回収件数33件(回収率50%;1自治体あたり2件配布)を得ることができた。調査結果では、「上司」についてはほとんどの回答者が「いる」と回答していたのに対し(97.0%)、同じ業務を担当する「先輩」がいると回答していたのは42.4%にとどまっていた。 また、自身の成長機会がどの程度担保されているかについての問いに対する回答を5件法(機会が全くないを0、十分な機会があるを5)で求めたところ、その平均値は1.91となっており、低いことが分かった。セルフスーパービジョンを展開する上でも研修会などの学びの機会を担保することが望まれる。特に小規模な基礎自治体では兼務であることも多く、回答者からは「研修などへ参加する時間が確保できない」といった回答もあった。「職務に関する相談相手としてその機会が最も多かったのは「上司」であり、最も少なかったのは「職場外の他職種」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型感染症拡大に伴い、研究計画の見直しが必要となったが、研究目的である中山間地域のスーパービジョン体制を検討する上での示唆は得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、前年度までの調査結果を踏まえ、全国の小規模基礎自治体を対象とした調査を行い、調整機関担当者を対象としたスーパービジョン体制のあり方を検討する。 また、先行研究や前年度までに本研究で行った調査から、兼務が多い実態やスーパーバイザーがいない実態も明らかになっているため、小規模基礎自治体こそ対人援助に関わる専門資格をもつ有資格者の活用が求められると考えられる。そうした観点から、中山間地域にあたる小規模基礎自治体で、調整機関担当を担ったことのある有資格者を対象としたインタビュー調査を実施し、有資格者の活用可能性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大を受け、計上していた旅費の支出が困難であったため、次年度への持越しを行うことで、社会情勢に合わせた柔軟な研究遂行を目指したいと考えた。そのため、研究計画を変更し、今年度が最終年度であることも踏まえ、調査計画を変更し、参与観察によるデータ収集から全国の小規模基礎自治体を対象とした質問紙調査に切り替え、当初の研究目標の達成を目指す。
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