研究課題/領域番号 |
20K13777
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
加山 弾 東洋大学, 社会学部, 教授 (20440000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会福祉法人 / 地域における公益的な取組み / コミュニティソーシャルワーク / 社会的孤立 / 地域共生社会 |
研究実績の概要 |
初年度(2020年度)は、関連する先行研究や行政文書・資料の収集を重点的に行った(以降も随時行っている)。2年度目(2021年度)はアンケート調査の実施に向け、協力団体との協議を行い、年度末に調査実施・回収を行った。調査対象として、【複数の社会福祉法人の連携による地域公益活動】の実践形態別に「大阪型」「滋賀型」「東京型」に類型化し、また都市部-郊外部-地方部のバランスに鑑み、東京都(東京型/都市部)・滋賀県(滋賀型/郊外部)・青森県(大阪型/地方部)の各都県社会福祉協議会を通じ、同会が事務局を務める社会福祉法人ネットワークに調査を依頼した。方法は、多段抽出法によるWEBアンケートである(回収結果はn=68)。
なお、この2年間に計画していた国内およびイギリスでの視察やヒアリングは、新型コロナウィルス感染拡大の影響により実施困難であり、2021年度に東京都社会福祉協議会および都内の3法人へのヒアリングを行うに留まった。イギリスの研究者とは電子メールによる情報交換を続けている。
この分野についは、社会福祉法人の制度改革を機に、全国で都道府県・市区町村を単位とする複数法人のネットワーク体制づくりが進んでおり、いわゆる「制度の狭間問題」と呼ばれる社会的孤立・排除や複雑化・複合化した生活課題の発見・解決に大きな役割を果たしている。また、2020年の社会福祉法改正による「重層的支援体制整備事業」の規定、コミュニティソーシャルワーカーの配置増進等が進められており、その一翼を専門機関として担う社会福祉法人への社会的要請も高まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度までに予定していた文献・資料収集、量的調査設計・実施を行うことができた。コロナ禍の影響により視察・ヒアリングがあまり進められなかった点は不十分だと捉えている。 イギリスとの実践的な共同研究については、電子メールでの情報交換は続けているものの、現地での視察・ヒアリングはできなかった。とは言え、比較研究は進んでおり、刊行物として発表することを予定している。
なお、付言すべきこととして、国会の要請を受け、参考人として本研究の中間成果を含めた説明を行った(参議院 国民生活・経済に関する調査会「誰もが安心できる社会の実現」(2022年2月9日 参議院第二特別調査室))。社会的孤立・排除や貧困の問題が重篤化する中で、本研究のテーマを含めた「地域共生社会」づくりの政策化を国は進めており、全国の自治体・地域で支援体制の構築が進んでいる。そのような社会的機運の中、一層実践的貢献のできる研究となるよう努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
量的調査結果の集計・分析を行う。最終年度となるため、調査研究の成果を論文投稿、学会発表、研究報告書等により公開し、本テーマに関心をもつ研究者・実践者・政策立案者等と意見交換しつつ、さらなる研究の発展に努める。
成果発表については、日本社会福祉学会、日本地域福祉学会をメインフィールドにする。また、申請者の勤務先での研究機関として東洋大学福祉社会開発研究センターとも研究交流をしつつ、双方の知見を交換・共有しながら進めていきたい。同センターにおいても、機関誌やシンポジウム等で成果物を定期的に公開しているため、それらにおいての発表も考えている。
イギリスの共同研究の成果は、今年度、文献(イギリスの出版社)で刊行予定である。コロナ禍による制限が緩和された時には、現地に赴いてさらなる討議や調査等に進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により出張(視察、ヒアリング、学会出席等)ができず、見込んでいた通りの執行ができなかった。感染状況を見ながらとはなるが、最終年度となるため、積極的に出張等も行っていきたい。
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