研究課題/領域番号 |
20K13781
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内田 和宏 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (20846878)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者介護施設 / 高齢介護労働者 / 人材確保 / 人材マネジメント |
研究実績の概要 |
60歳以上の介護労働者の割合は年々増加しており,その重要性も増加している.高齢者が介護労働者として働くことは,介護に関する専門的な知識や技術が必要とされるうえに,身体介助などで体力や腕力なども必要とされるため,身体的にも精神的にも負担が大きくなることが考えられる.しかし,現状の介護現場においては,個々の資質や能力,専門性に応じた役割分担が十分になされていない場合が多く,高齢の介護労働者であっても若手介護労働者と同様の働き方が求められることが多くみられる状況である.そこで,本研究は,高齢者介護施設における高齢介護労働者の就業・定着の促進・阻害要因を明らかにし,高齢介護労働者が定着し,働きがいをもって働くことのできる職場環境の実現に向けたマネジメントモデルを開発することを目的として調査を行う. 2020年度は,高齢介護労働者の就労・定着における促進・阻害要因を明らかにすることを目的として,東京近郊の7か所の高齢者介護施設の人事担当者を対象に,高齢介護労働者を雇用するための工夫について,探索的にインタビュー調査を行った.インタビュー調査の結果,高齢介護労働者本人の心身状態や生活状態を把握し,本人の就労動機を考慮したうえで仕事の役割分担を明確化し,周囲の職員の理解と協力を仰ぐことによって,就労継続に至っていることが明らかになった.また,すべての施設において高齢介護労働者の割合は 20%を超えていた.法人の高齢介護労働者の就業・定着を促進するためには,gerontologyを前提とした人材マネジメントが求められていることが示唆された.また,法人ごとに正社員や非正規社員として雇用できる年齢や定年が異なっており,そのような労務管理の状況に応じて,高齢介護労働者の人材マネジメントを工夫する必要性も示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はインタビュー調査を,高齢者介護施設15施設を対象に行う予定であったが,COVID-19感染症の影響による対象施設の感染対策や業務量増加の影響もあり,実施施設は7施設にとどまった.現在までに得られたデータについて,分析を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,2020年度に行う予定であったインタビュー調査を継続して行い,得られた結果について分析を行う.インタビュー調査の成果については,学会発表を行う予定である.また,2021年度中にインタビュー調査で得られた結果に基づいて質問項目を作成し,アンケート調査を行うことによって,構成概念や因果関係の妥当性や関連性を統計的に検証することも予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19感染症の影響により,学会発表と出張調査が中止となったため,次年度使用額が生じた.COVID-19感染症の影響にもよるが,2021年度は2020年度未実施であった出張によるインタビュー調査や,国内外の学会での研究成果の発表,当初予定していたアンケート調査において使用することを予定している.
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