研究課題/領域番号 |
20K13783
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研究機関 | 浜松学院大学 |
研究代表者 |
小楠 美貴 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 准教授 (40829024)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 代理によるミュンヒハウゼン症候群 |
研究実績の概要 |
本研究は、代理によるミュンヒハウゼン症候群(以下、MCA)に関する医療機関と福祉機関の連携の状況、虐待対応専門職による他機関との連携の必要性に対する認識とその課題を明らかにし、MCAに対する医療と福祉の連携のあり方を提起することが目的である。2021年度は、①質問紙調査のための予備調査、②医療ソーシャルワーカーを対象とした調査の分析、③文献調査、④質問紙調査の質問項目の再検討を行った。具体的には、①においては、全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査の実施に向けて、福祉機関所属の虐待対応専門職を対象とした予備調査を実施した。その結果、調査の実施時期、実施方法、質問項目、解析方法について改めて検討する必要性が見出された。②については、全国の小児専門病院・特定機能病院・地域支援病院に所属する医療ソーシャルワーカーを対象に行ったアンケート調査の自由記述を分析対象とし、テキストマイニングを実施した(小楠,2021)。その結果、医療ソーシャルワーカーがMCAと関わった経験がある場合、医療ソーシャルワーカーがMCAを発見した際にどのように対応すべきか判断が難しい傾向にあり、MCAであると判断するまでに時間を要するということが明らかとなった。また、今後の課題として、医療機関においてMCAという判断がつかない場合は速やかに児童相談所や福祉事務所へ情報提供をする必要があることや、院内虐待対応チームのみならず家族支援チームのような医療ソーシャルワーカーを中心としたメンバーで医療従事者と協働しながら、MCA等の児童虐待案件に対応する必要があることが示唆された。③については、諸外国の児童虐待への取り組みの歴史的変遷と現状、MCAの対応に関する状況とその課題について検討した。④については、①・②・③の結果をふまえ、質問項目を改めて設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画においては、2021年度までに全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査を実施し、児童福祉司ならびにケースワーカーへの面接調査を実施する予定であった。しかし、予備調査の結果、全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査について再考する必要があることが明らかになった。さらに、コロナウイルス等の影響も受け、2021年度は予備調査を実施するにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査に向けた質問項目を最終的に決定するためのヒアリングを行う。そのうえで、全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査、児童福祉司ならびにケースワーカーへの面接調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に予定していた全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査、児童福祉司ならびにケースワーカーへの面接調査を実施することができず、未使用額が生じた。2022年度は、質問紙調査に向けた質問項目を最終的に決定するためのヒアリング調査を実施したうえで、前述の質問紙調査と面接調査を実施する。
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