研究課題/領域番号 |
20K13783
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研究機関 | 浜松学院大学 |
研究代表者 |
小楠 美貴 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 准教授 (40829024)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 代理によるミュンヒハウゼン症候群 |
研究実績の概要 |
本研究は、代理によるミュンヒハウゼン症候群(以下、MCA)に関する医療機関と福祉機関の連携の状況、虐待対応専門職による他機関との連携の必要性に対する認識とその課題を明らかにし、MCAに対する医療と福祉の連携のあり方を提起することが目的である。 2022年度は、①文献調査、②事例検討を実施した。①については、全国の地方自治体報告書から重大な児童虐待事例(以下、重大事例)のうち医療機関と関わりのあった事例を抽出し、家族構成、子どもの死亡等に至る経過や医療機関の対応状況について文献調査を実施した。その結果、医療機関と関わりのあった事例は、全ての重大事例のうち約55%であることが明らかとなった。さらに、重大事例全体のうち、医療機関の関与はあったが虐待の認識がない事例は約25%であり、医療機関の関与があり虐待の認識もあった事例は約1.5%であることが確認された。②については、①で抽出した医療機関と関わりのあった児童虐待の事例への対応を質的に分析し、そこからみえる問題点や課題について検討を行った。その結果、様々な課題がある要支援家庭への支援について、精神科既往歴のある妊婦への関わりの重要性、特定妊婦への対応のばらつきなどの課題が浮かび上がってきた。特に、医療機関は、虐待発生前や虐待が深刻化する前(虐待発生初期)から、虐待リスクの可能性の高い親やその子どもと接点を持つことがあるため、その様子から虐待を認識するあるいは疑うことができると考えられる。したがって、虐待リスクのある親とその子どもに関し、福祉機関と医療機関が連携をはかり、情報共有やリスク管理を徹底することは極めて重要であることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス等の影響を受け、2022年度に予定していた質問紙調査に向けた質問項目を最終的に決定するためのヒアリングの実施が延期となってしまった。その結果、2022年度に計画していた全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査、児童福祉司ならびにケースワーカーへの面接調査を実施も先延ばしとなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査に向けた質問項目を最終的に決定するためのヒアリングを行う。そのうえで、全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査、児童福祉司ならびにケースワーカーへの面接調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に予定していた全国の児童相談所及び市・特別区に対する質問紙調査、児童福祉司ならびにケースワーカーへの面接調査を実施することができず、当該助成金が生じた。2023年度は、質問紙調査に向けた質問項目を最終的に決定するためのヒアリング調査を実施したうえで、前述の質問紙調査と面接調査を実施する。
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