研究課題/領域番号 |
20K13788
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
本多 伸行 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 助教 (10824815)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 就労支援モデル / self-awareness / 高次脳機能障害 / 発達障害 / 精神障害 / 社会参加 / QOL |
研究実績の概要 |
本研究は、就労支援施設における高次脳機能障害者のSelf-awarenessの向上の介入モデルを開発することである。 STEP1.就労支援における介入モデルの有用性の検討:予備段階として、研究代表者が、連携施設(就労継続支援事業所、就労移行支援事業所等)の担当者(コーディネーター)に対し、在宅型就労プログラムが実施できるよう指導・研修を行った。介入プログラムは、認知行動療法に基づくアプローチで行う。研修は、座学とOJTを活用し、回数によってコーディネーターの経過を調査した。 STEP2.介入効果の要因分析とプロトコール作成:STEP1の対象者とコーディネーターに対し、①介入前後の就労に対する期待や不安、②就労を通じて生じた具体的な課題、③その課題に対して用いた認知戦略、④認知戦略によって生じた結果や変化について半構造化面接を行った。 本年度は、当事者の参加者は3名で、全員が訓練期間すべて参加した。参加者は、すべての訓練に参加し、変化への動機づけが向上していた。SA訓練は障害特性を合わせた参加者で構成されることが多かった。今回の結果は、SAに焦点をあってたグループ訓練の継続参加意欲が保たれるだけでなく向上することが示唆された。問題の気づき・戦略の気づきは改善傾向であった。しかし一部の参加者は、戦略の気づきは改善していなかった。これは、問題の気づきの能力が高いことで、多くのことへの気づきが生まれやすいが、それに合わせた問題への戦略生成が間に合わないことを示唆していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、対面での面接・評価・介入、有識者会議を必要回数事実施できなかった。そのため、十分な研究対象者の数を確保することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Step1.予備段階:選定された対象者に対し、評価・介入・再評価を実施する。さらにフォローアップ評価を行い、その結果を分析する。 介入の有効性は、①神経心理学的所見、②SAの変化量を結果指標とし判定する。 Step2.介入効果の要因分析とプロトコールの作成:Step1の対象者とコーディネーターに対し、①介入前後の就労に対する期待や不安、②就労を通じて生じた具体的な課題、③その課題に対して用いた認知戦略、④認知戦略によって生じた結果や変化について半構造化面接を行う。そしてその結果をテキストマイニングを用い内容分析を行う。 STEP3.就労支援事業所向けの社会支援モデルの効果の判定:STEP2で作成されたプロトコールを用い、クラスターランダム化比較試験にて効果判定を行う。介入群に対するプログラムは3ヶ月間とし、効果判定は、3ヶ月後・6ヶ月後とする。評価項目は①神経心理学的所見、②SAの変化量、③インシデント・アクシデントレポート、④就業の継続性(脱落者の有無)を用いる。結果の解析は、①②については二元配置の分散分析を行い、交互作用を確認し、効果量により判定する。③については、ヒヤリハットの件数及び内容の分析を行い、④については、離職までの日数や遅刻・欠席等の件数を副次指標とする。それぞれの結果について学会発表もしくは論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって、研究対象者数が確保できなかった。そのため、介入が実施が不十分であった。次年度は、研究対象者の確保方法を変更し、必要数を獲得する予定である。また、介入に必要な人員の確保を行う。それによって得られた介入結果を有識者間で検証を行い、分析を行う予定である。
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