研究課題/領域番号 |
20K13790
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
清水 大輔 兵庫医科大学, リハビリテーション学部, 講師 (50747045)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高次脳機能障害者 / 地域支援 / 地域リハビリテーション / 障害福祉 / 行動変容 / 生活支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、記憶障害や遂行機能障害などの認知機能に問題を有する高次脳機能障害者が社会で暮らしていく時の困りごとに対する、介入効果を明らかにすることである。高次脳機能障害者が社会生活の中で、解決したい活動/参加に焦点を当て、人的支援またはICTツールを用いて行動を定着させるアプローチを行う。この行動の継時的変化を明示化することで、介護や支援の見通しを立てやすくし、他の社会生活行為の解決をはかる際の一助とする。 今年度の実績は下記の2つである。 1つ目:地域活動支援センターを利用している後天性脳損傷者が自身の目標とその行動を日誌を記録し、進捗を他者と共有したことで生活の遂行度や満足度が変化した実践経過を報告した。参加者は、後天性脳損傷者3名で、介入には個々の生活に焦点を当てた目標設定と行動日誌を使った行動管理を行うグループリハビリテーションを実施した。主要な指標として、介入前後にNRSを用いて生活の遂行度と満足度を比較した。介入前後の結果から、2名の参加者のNRSは改善傾向を認めた。参加者の内省から、自身の生活を見直す機会になった。後天性脳損傷者の生活満足度を向上させる手段として、行動日誌の活用を検討できることが示唆された。 2つ目:この研究では、パンデミック後に屋外歩行に恐怖を感じた70歳代の後天性脳損傷者に対する行動変容介入の結果を報告した。 単一ケースの実験計画研究が使用され、クライアント中心の行動変容介入が実施された。 毎日の歩数はスマートウォッチを使用して記録さた。 さらに、生活への満足度と屋外歩行への恐怖度も評価された。 介入フェーズでは、非介入フェーズと比較して歩数の増加が示された。 同様に、生活への満足度も向上し、屋外を歩くことへの恐怖も減少した。 対象者の社会的および環境的要因も考慮したクライアント中心の行動変容介入は、後天性脳損傷者にとって有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19 の影響により研究者が研究協力機関に立ち入ることができない時期があった。そのため、研究期間全体を通して研究の進捗は遅れている。2023年度の研究計画だけを取り出すと、徐々に研究対象者との接触が可能となり、データ収集できる機会が増え概ね、計画通りの進捗であった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究データ公表のために学会参加や論文執筆を進める。並行して、研究協力機関の協力を得ながら、データ収集を継続して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により、研究期間全体の中で研究の進捗が遅れた。そのため研究費の使用額も計画通りに進まなかった。2023年度からは、研究計画の見直しを行ったため、研究費は学会の公表や論文執筆に使用する計画である。また、すでに2024年度の学会においても、研究成果の公表が決定しているため、旅費及び学会参加費として使用することも決定している。
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