研究課題/領域番号 |
20K13793
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
松永 博子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70811272)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活困窮者 / 自立支援 |
研究実績の概要 |
今年度は、本補助金の採択前から取組んでいた生活困窮者自立支援施設の生活支援担当者及び就労支援担当者へのインタビュー調査の内容を質的に分析し、「生活困窮者自立支援施設における支援プロセスに関する研究」を学会発表した。 また今年度は、生活困窮者が支援に繋がりやすくするための研究の一環として、先行研究レビュー及び生活困窮者が自立支援施設に繋がりやすくするための方策を明らかにするためのインタビュー調査を予定していた。先行研究レビューに関しては、このような新型コロナ感染症感染拡大の中にあっても進めることができたものの、インタビュー調査についてはスケジュールを延期せざるを得ない状況が続いている。4月には、我が国最初の緊急事態宣言が発出され、勤務は急遽リモートワークとなり、これまでの生活は異なる新たな生活様式を強いられている。研究を進めるにあたっての所属機関の研究倫理委員会の開催も回数が限られ、それに向けての準備を進めた。 インタビュー調査の実施は遅れているものの、インタビューの際にはインタビューイーの許可を得て音源を録音する予定であるが、インタビューイーから語られた会話のエッセンスを記録するための媒体を必要としている。 そこで、インタビュー調査実施に向けて今年度の補助金は、携帯可能なノートパソコン購入に当てた。また、インタビュー音源を逐語化して、生活困窮者自立支援施設で必要とされる支援や、生活困窮者支援に繋がるプロセスを示す方法として概念化やプロセスを明らかにするための質的分析法の文献を多数購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度4月には、新型コロナウィルス感染症拡大のため、緊急事態宣言が発令された後、2021年1月、2021年4月と繰り返し緊急事態宣言が発令されている状況にある。この1年数ヶ月はこれまでの生活が一変し、生活様式の変容を強いられている。私の所属する機関においてもリモートワーク化が進み、事務手続き等も遅々としている。 2020年4月から生活困窮者に関する先行研究レビューは進めているものの、本年度の生活困窮者自立支援施設へのインタビューについては進めてよいものか危惧していた。なぜなら、コロナショックによる失業や倒産等により、生活保護相談や生活困窮者相談に来る人が殺到し、生活困窮者自立支援施設の利用者が激増している。また、生活困窮者自立支援施設は共同生活の場であり、新型コロナウィルス感染症の感染拡大予防策を充分に講じる必要性があるからである。 当初より予定していた生活困窮者自立支援施設の生活支援担当者や入居者を対象としたインタビュー調査に関しては、所属機関の研究倫理委員会に研究の申請を行い、審査の結果、承諾を得た。また、生活困窮者自立支援施設は、東京区政会館特別区人事・厚生事務組合と東京都福祉保健局で運営されている。そこで、両機関に調査に関する協力依頼の文書を送り調査への承諾を得た。現在は、東京区政会館特別区人事・厚生事務組合から東京23区に設置されている生活困窮者自立支援施設5ヵ所の連絡先をお伺いし、施設長宛に調査協力依頼書をお送りした。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、所属期間の研究倫理委員会の承認を得て、都下で運営されている生活困窮者自立支援施設の運営主体である東京区政会館特別区人事・厚生事務組合及び東京都福祉保健局の承諾も得た。現在は東京都23区において展開されている5ヵ所の生活困窮者自立支援施設の所属長に向けて生活困窮者が支援に繋がりやすくするための研究の一環として、先行研究レビュー及び生活困窮者が自立支援施設に繋がりやすくするための方策を明らかにするためのインタビュー調査への協力依頼状を送付したところである。 各施設の施設長からの調査協力についての可否の返信を待ち、各施設のキーマンとなる担当者と連絡を取り合い、生活支援担当者及び入居者へのインタビュー調査を5月から8月に実施予定である。けれども、3回目の緊急事態宣言が延長され、所属期間の規定では、緊急事態宣言中の調査は実施しないとされているため、インタビュー調査実施が遅れている。可能であれば6月から8月にインタビュー調査を実施し、9月にはインタビューデータの逐語化、インタビューデータのクリーニングをした後、生活困窮者自立支援施設に逐語のフィードバックを行う。10月から2月にかけては、インタビューデータを基に質的分析を行い、生活困窮者が生活困窮者自立支援に繋がるまでのプロセスや生活困窮者に必要な支援、生活困窮者が望む支援について分析し、図解化、ストーリーラインをまとめる予定である。 2022年3月から5月にかけては分析結果を基に、学会発表の要旨を作成し、所属する学会にて発表するための準備を行う。また、2022年度には生活困窮者が自立支援施設に繋がりやすくするための方策を明らかにするためのインタビュー調査の結果を原著論文にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に、インタビュー調査に向けて持ち運び可能なノートPCを購入を予定しておりました。そのため、次年度使用金額が初年度より少なくなっております。
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