研究課題/領域番号 |
20K13795
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
近藤 真司 筑波大学, テーラーメイドQOLプログラム開発研究センター, 研究員 (30780192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 天然生理活性物質 / 食品成分 / 標的分子同定 / 簡易検定法 / 細胞培養系 / 抗うつ |
研究実績の概要 |
うつ病患者は世界で推計3億人を超えているが十分に有用な抗うつ薬が見出されていないことから、抗うつ作用を有する食品成分の可能性が期待されている。食品成分の機能性が数多く報告されている中、その標的分子に関する報告は未だ少ない。標的分子への相互作用についての研究は、現在創薬分野で盛んに行われている。従来、薬物-標的分子結合検定では長年主に表面プラズモン共鳴(SPR)等を原理とする生体分子間相互作用解析装置が用いられてきた。しかし、薬物に比べ食品成分の標的分子についての検討は未だ進んでいない。この主な理由は、食品成分は薬物と比べ標的分子への特異性および結合性が低いので従来法を用いての結合活性検出が難しいことが挙げられる。また解析装置本体およびその消耗品は高コストで研究への導入が困難となっている。従って食品機能分野では、低い分子間結合活性が検出可能で低コストな方法が求められている。本研究では、新規簡易手法を用いた食品成分-標的分子結合検定系の構築を行い、抗うつ作用を有する食品成分の標的分子を同定することを目的とする。同定された標的分子について、細胞培養系および動物実験系で分子生物学的手法・生化学的手法を用いて結合活性を確認するとともに、その作用メカニズムの活性化について検討する。 令和3年度は標的分子結合食品成分の定量性向上のため、固着面からの細胞剥離の改善が課題であったが、細胞接着性維持に適したバッファ―を見出し定量性向上に成功した。また標的分子が誘導する神経機能活性マーカ―の発現量を検討することで、標的分子に結合し得る食品成分候補のスクリーニングを行った。その結果、現在までに5種成分が神経機能活性マーカ―の発現量を上昇したことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度ではCOVID-19の蔓延による緊急事態宣言から、筑波大学では入構制限が行われた。また物品納品の大幅な遅延から当初の研究スケジュールにも混乱が生じた。その後、研究活動が再開されたが全体的な研究計画の進行はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度では、定量性が改善された新規評価系を用いて、前年度でスクリーニングされた候補成分と標的分子との結合活性を評価する。また、新規評価系の有用性を実証するため表面プラズモン共鳴(SPR)を応用した既存の分子間相互作用解析装置を用いて比較検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度ではCOVID-19の蔓延による緊急事態宣言から、筑波大学では入構制限が行われた。また物品納品の大幅な遅延から当初の研究スケジュールにも混乱が生じ全体的な研究計画の進行はやや遅れている。そのため次年度使用額が生じた。本年度では研究計画で使用する予定であった物品、論文投稿、学会発表に研究費を充てる
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