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2023 年度 実施状況報告書

ベトナム農村地帯における下痢症対策:Point-of-useでの水の安全確保

研究課題

研究課題/領域番号 20K13800
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

岩下 華子  東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (40742771)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード下痢症対策 / 飲料水 / 地下水 / ワンヘルス
研究実績の概要

ベトナム北部農村地帯における下痢症対策としては、日常生活で扱う水やトイレに関わる衛生管理が重要であることが我々の疫学研究からわかっている。そこで、同様の疫学的なアプローチにより、ネパールでの下痢症の要因解析のためのデータ収集を行った。具体的には、首都カトマンズの熱帯感染症病院に来院した下痢症患者において、背景情報として、日常生活で扱う水やトイレに関わる基本的な情報についてアンケート調査を行った。飲料水として使用している水の種類(配水ボトルの水、水道水、地下水)、同様の選択肢で生活用水の種類、またそれらの家庭での浄水方法(煮沸など)、トイレの種類(汲み取り式、水洗トイレ)を聞き取り、彼らの下痢症の重症度情報との関連を解析し、可能であれば、下痢の原因となる微生物の特定も行い、どのような下痢症対策が調査地において重要かを検討している。ベトナムの病院での下痢症調査では、下痢症の重症度と下痢症起因微生物との関連において、ロタウイルスが検出される場合に下痢の重症度が高い傾向があることが示されており、ネパールにおいても同様の傾向があるのか、まずは下痢の原因微生物としてロタウイルスの特定を行い、関連を確認する準備をしている。今の所、飲料水として地下水を使用している下痢症患者においてロタウイルスの陽性率が高い可能性があることから、ネパールは下痢症の原因となる微生物が土壌中のコンタミネーションから起こることも想定される。特に地下水が原因となる下痢症の発生がないのか、また環境内の家畜や野生動物などの影響が考えられるのか、ワンヘルスアプローチによる検討も始めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の影響で、ベトナムと同様にネパールにおいても、現地の人々の生活環境が変化した。ベトナムへの渡航が困難なため、ネパールにおいても下痢症の疫学的調査を進めている。ネパールは、水が関連する下痢症の重要性がベトナムと同様に示唆される。解析において重要なアウトカムとなる下痢の重症度をきちんと評価し、同時に下痢原因微生物の検出も検討している。新型コロナウイルス感染症の蔓延期間にもかかわらず、下痢症で来院する成人の便からは、他の時期よりもロタウイルスの検出率が高い傾向があり、ロタウイルスが下痢の重症度に強く影響している可能性がある。そのロタウイルスの感染経路として環境中の水系感染も否定できないため、下痢便からのみならず、水などからもロタウイルスを含めた様々な下痢原因微生物を検出し、下痢症対策につながる情報を収集することを目指している。

今後の研究の推進方策

ベトナムでの下痢症研究を基本とし、ネパールにおいて疫学調査を展開中である。特に人の生活において水に関わる利用状況をベトナムとネパールにおいて比較することで、下痢症対策につながる取り組みが見つかる可能性がある。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症に波及した現地の事情により、ベトナム渡航を見合わせていたが、ネパールでの知見の融合も視野に入れ、新たな展開を遂行中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ネパール熱帯感染症病院(ネパール)

    • 国名
      ネパール
    • 外国機関名
      ネパール熱帯感染症病院
  • [国際共同研究] ベトナム国立衛生疫学研究所(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      ベトナム国立衛生疫学研究所
  • [学会発表] 2021-2023年のネパールにおけるロタウイルスの遺伝子型の多様性2023

    • 著者名/発表者名
      高月英恵、岩下華子、Pandey Basu Dev, 新竜一郎
    • 学会等名
      日本ウイルス学会学術集会
  • [備考] 東京女子医科大学

    • URL

      https://gyoseki.twmu.ac.jp/twmhp/KgApp?kyoinId=ymdsgkoegge

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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