研究課題/領域番号 |
20K13803
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
横田 尚美 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (40751409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 仕事着 / 民俗服飾 / つぎはぎ / ボロ / リユース / サスティナブル / 衣生活 / 女性の暮らし |
研究実績の概要 |
当該衣生活資料を部分的に詳しく調査し、写真を撮り、データを取り、つぎはぎの状態を記録するなどした。そのデータをカード化するために、部分的に写真とデータの入力を終えた。ただし、コロナの影響で所蔵者の家に伺うことができなかったことと、前期については学生と作業をすることができなかったことで、余り調査を進めることができなかった。その上に、所蔵者とその家族のプライベートな事情により、所蔵者と連絡が取れなくなってしまい、ますます調査がはかどらない原因となった。昨年度に資料を資料保存箱に移す作業も一部始めていたが、それもできなくなった。 そんな中で、8月には同様の衣生活資料を展示している近県の資料館を見学し、同館のスタッフに話を聞いたりした。11月には、淡路島のドンザという、同様に刺し子をした漁に着用する作業着の展示を2か所で調査した。資料館では、今後の調査についても可能性を打診するなどした。 10月には韓国服飾学会の国際大会で、新たに蔵から持ち出した衣類についてのポスター発表’A clothing life of a certain family at one village in a mountain of Shiga prefecture’を行った。 衣生活資料の調査が進められなかったため、文化財指定を受けるのに必要な衣類の名称を知りたいと考え、昭和の初め、大正、明治と文献資料を遡り、この周辺の当時の産業の実態を調査したり、さらに江戸時代まで遡って、この辺りの衣生活について調べ、社会文化史学会で発表し、論文「盗品に見る彦根藩の衣生活-『本罪御仕置者書抜』を史料として-」にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のように、コロナの影響と衣生活資料の所蔵者のプライベートな事情により、資料を実際に調査することが難しかった。資料を安全な保存用の箱に移したかったが、所蔵者の家に行けなかったため、それも叶わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究は後2年となったが、まだコロナの状況が続いている上に、所蔵者の家の事情が好転するどころかむしろ悪化しており、どこまで目的を達することができるかわからないが、今年度は少しでも調査を進め、データ化していきたい。それが最終年度の目標である展示や報告書に繋がり、県の文化財指定にも繋がると考える。 少ない好材料として、この6月4日に滋賀県開催の全国植樹祭のプレイベントとして、この衣生活資料が一部だが、地元で展示されることになった。これをきっかけに県や町の担当者をはじめとする地元の方々や林業関係者の本資料保存への理解が高まることを期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響と所蔵者の事情で、衣生活資料の所蔵者宅に行くことができず、保存箱を買うことがなかった。学会などもオンラインになり、旅費も余り生じなかった。今年度は、調査は進むと思うが、所蔵者の事情がさらに思わしくない方向に進んでおり、保存箱を購入することになるかどうかわからない。コロナが収束してくれば、旅費は増加すると考える。学会参加やデータの入力状況によっては、写真の使用料も発生してくる。また、所蔵者宅の文書の解読のために協力者に謝金を払うことが出てくるかもしれない。
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