これまでに、スチコンで炊飯と他の食品の調理を同時に行うことを想定した炊飯条件を設定し、その条件で炊飯した米飯の物性測定、官能評価を実施した。その結果、同時調理を想定した条件でスチコンを用いて炊飯した米飯は炊飯器で炊いた米飯のおいしさと変わりがないことが示唆された。2022年度はさらに、炊飯条件を変えて炊飯を行い、その米飯の物性、還元糖量の測定、官能評価を実施した。同時調理を想定した炊飯条件として、1枚あたりに750g もしくは375 gの水を入れた1/1エナメルパン9枚を炊飯容器と同時に加熱することとした。炊飯は1/2ホテルパンに米300 gと水(加水比1.2-1.5倍)を加え、30分間浸漬させた後、加熱設定温度150℃、水蒸気量100%、炊飯時間20分、蒸らし20分間の条件で炊飯を行った。 炊飯温度履歴の測定結果より、炊飯と同時に加熱する水量が多い場合、炊飯容器内の温度上昇が緩やかになる傾向がみられた。単回帰分析を行ったところ、炊飯容器内部が90℃に到達する時間(分)= 6.272+0.427×a (a= 同時挿入した1/1エナメルパンに加える水量(kg))の予測式が得られた。同時挿入水量が同じ場合は、炊飯時の加水比は炊飯温度履歴に影響しなかった。 IH炊飯器にて炊飯した米飯(加水比1.5倍)を基準とし、官能評価を実施した。その結果、加水比1.5倍の米飯は同時炊飯の条件が変わっても、基準米飯よりもやわからいと評価された。しかし、炊飯時の加水比を調整することで炊飯器と同程度のかたさの米飯となり、米飯の炊き増し比も同程度となった。また、スチコンで炊飯した米飯の甘みは基準米飯よりも甘いと評価され、還元糖量はIH炊飯器で炊いた米飯よりも多くなる傾向がみられた。
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