研究課題
2022年度は本研究の総括として、BCA反応呈色への布帛種による影響を検討した成果をまとめたものを国内学会誌へ、界面活性剤および酵素による影響をまとめたものを海外学会誌へ、それぞれ投稿した。その後、2022年度中に国内学会誌で掲載が決定し、海外学会誌は掲載に向け著者校正の段階に入っている。さらに、本法を実際の皮脂汚れに適用にするため、具体的に次の二つの試みを実施した。まず、汚れが付着する布帛として、本研究で基準布として用いてきた綿金巾と、下着生地として代表的な綿メリヤス生地の吸水量ならびに洗濯後に残留すると考えられる水分量について検討を行い、タンパク質定量に必要な試薬等の総量および将来的に綿メリヤス生地への本法の適用を行う上で必要な条件について考察した。次に、天然襟垢汚染布の作製を被験者へ依頼し(20代女性を中心)、天然汚染布中のタンパク質定量を行う準備と試行を進めた。しかし、2021年度末に判明したオレイン酸とアルブミン複合汚染布の結果をふまえ、本法を用いた天然汚染布の定量のためには、付着する脂肪酸量とタンパク質の種類による呈色への影響をさらに追及する必要があるとともに、従来行われてきた抽出による脂肪酸およびタンパク質の定量条件を整理し、汚染布の脂肪酸量とタンパク質量を明らかにして、双方定量法によるの結果を比較することも求められると考えられ、引き続きこれらの課題について明らかにすることとした。これらの検討結果より、タンパク質汚染布を用いた洗浄試験への基礎的知見が得られた一方で、新たな課題として、脂肪酸とタンパク質の複合汚れモデルとその反応機構の解明、さらに、天然汚染布のタンパク質定量の方法確立が急務であることが明らかとなった。
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材料技術
巻: Vol.40, No.3 ページ: 23-30