研究課題/領域番号 |
20K13811
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
黒飛 知香 広島修道大学, 健康科学部, 助教 (70847706)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 官能評価 / テクスチャー / 風味 / 嚥下 |
研究実績の概要 |
当該年度について開始する前に研究協力者と再度,打ち合わせを行い,研究計画についての再検討などを行った.まず,昨年度はコロナウイルスの影響もあり,研究環境を整えることができなかったため,当該年度は必要な実験機器などを購入し,研究環境の整備を行った.実務内容については,トロミ調整食品の取り扱いに苦戦することも多く,予定通りの進捗とはいかなかったが下記の内容を実施した. 当該年度は,溶媒(水)に学会分類2013(とろみ)に基づく使用量から3濃度(薄い,中間,濃い)に調製したトロミ付与飲料水を用いた.トロミ調整食品は,昨年度の試料選抜の結果を反映して決定した.評価には,官能評価および機器分析を実施した.まず,各トロミ飲料水試料についてLST法を行った.その結果,各とろみ濃度のLST規格値に入っている試料はキサンタンガム系1種類のみであった.そこで,このキサンタンガム系をベースに,その他のトロミ調整食品の濃度を算出して官能評価および機器分析に用いた.しかしながら,同程度の粘度に調製したにも関わらず,想定した粘度が発現できていない試料も存在していた.そこで,再度振り出しに戻り,各市販トロミ調整食品のパッケージに記載している濃度に調製して同様に実施した.キサンタンガム系,デンプン系,グアガム系でそれぞれ調製時の注意点などが異なっており,サンプル調製の過程が大きく評価に影響を及ぼすことが推察された.当該年度では,上記のような2パターンで実施したが,これらは予備検討であり,最終目的である「トロミ飲料の口腔内知覚・嚥下挙動に影響を及ぼす力学的特性の解明」には,まだ時間を要すると思われる.さらに,本研究の目的の1つでもある茶やジュースなどといった溶媒の違いによるトロミ飲料への影響については当該年度での実施はできなかった.こちらについても次年度以降で予備実験に取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度の総合的な評価としては,昨年度に続きコロナウイルスの影響もあり,コロナ前の状況での研究実施は困難であり,予定通りにはいかない部分も多かった.そのため,当初の予定から大幅に遅れた結果となってはいるものの,当該年度は少しずつ進捗しているところである. 当該年度は,研究環境の整備を並行しながら,研究に伴う事務手続きおよび実務を行った.研究環境の整備は,機器の購入手続きから納品まで時間を要すため,当該年度前半に必要不可欠な大型機器などを購入し,設置した.倫理委員会については,昨年5月中に実施し,承認後以降に官能評価を実施できるよう進めた.当該年度の研究実務は,山電製クリープメーター測定部の導入後,随時活用し,データを蓄積してている状況である.官能評価については,導入機器を使用した評価までには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に実施した内容を振り返り,溶媒(水)での測定試料の粘度をそろえた条件で「トロミ飲料の口腔内知覚・嚥下挙動に影響を及ぼす力学的特性の解明」のための評価を実施していく予定である. 並行して,溶媒を緑茶飲料などにしたトロミ飲料での予備検討を行う予定である.官能評価については,引き続きコロナウイルス感染対策をしっかり施した上で研究を進める予定である.次年度も,初年度および当該年度の遅れを少しでも取り戻せるように計画し,実施していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は,初年度のコロナウイルスや在宅勤務の影響から,購入を見送っていた分析機器類の購入を行った.しかし,半導体不足など様々な要因から,値上げした機器類も多かった.そのため,当該年度では官能評価用に導入した感性・官能評価システムのアプリライセンスなど当初より個数を減らして購入をした.その結果,当初使用額から残額が発生し,次年度へ持越しとなった.次年度では,次年度および当該年度分を使用し,引き続き研究環境の整備や研究実施に伴う物品購入等に使用する予定である.
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