研究実績の概要 |
【研究目的】トロミ付与水溶液のテクスチャー特性(官能評価)に対応する実際の喫食状態に近い条件における機器測定および力学的特性について検討した. 【研究概要および成果】2023年度は,特別用途食品・嚥下困難者用食品の試験方法およびさらに喫食状態を反映させた条件においてSBE法(20℃・24.8℃)を行った. 官能評価結果からは,いずれのトロミ調整食品も添加濃度の増加に伴い,べたつきが強く,かたく,飲み込みにくくなる傾向を示した. テクスチャー測定による硬さでは,最も硬かった試料と官能評価の結果が一致した.しかし,官能評価で最も緩いと評価された試料とテクスチャー測定の結果は一致しなかった.付着性では,付着性が強い,弱いともに官能評価結果と一致した.凝集性については,飲み込みやすさ(官能評価)と一致しなかった. さらに,官能評価と機器分析の相関結果からは,官能特性ごとに異なる力学的特性値が影響していることが明らかとなった.かたさは,テクスチャー測定(20℃)による硬さおよびSBE法で得られたずり速度16.5[s-1](20℃)時の見かけ粘度と高い相関が認められた.飲み込みやすさは,24.8℃条件におけるずり速度15.6[s-1]時の見かけ粘度と相関が高かったことから,喫食後の温度変化の重要性を示すことができたとともに,このずり速度が嚥下特性に関連する可能性が示唆された.べたつきは,口腔内および喉の残留感ともにテクスチャー測定(20℃)による付着性と相関が最も高かった.以上より,官能特性ごとに口腔内の状態を反映させた機器分析および測定条件が重要であることを改めて示すことができた.
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