野菜の消費量は減少の一途を辿っており、野菜の摂取不足に起因する生活習慣病などのリスク拡大が懸念される。この状況を回避するために、野菜の消費促進を図ることは重要であるものの、容易ではない。以上の背景に対して、本研究では、野菜の摂取量を大きく増やさなくても、調理加工時の栄養・機能性成分の損失状況や各々の栄養・機能性成分の消化特性を解析することで、調理加工時における栄養・機能性成分の損失軽減や従来は吸収されにくかった含有栄養・機能性成分の吸収促進に資する調理加工法の検討を目的とし、栄養・機能性的に野菜の利用効率の向上を目指している。すなわち、野菜の摂取量が一定でも、含有栄養・機能性成分の吸収性が向上できれば、栄養・機能性の観点では野菜の利用効率は向上できると考えられる。 種々の野菜の調理加工特性について検討しが、葉物の野菜の場合は、調理する前に、ゆでによりアクを除去する場合がある。この時に、ゆで時間と野菜に含まれる機能性成分のバランスをとる必要があり、大量処理でなければ、電子レンジの活用も可能であるとわかった。また、野菜に含まれるGABAに関しては、調理法を含有量の変動に大きく影響を与えることが分かった。GABAを20mg/日以上の継続摂取は罹患していない者の高めの血圧を低下させる作用を有すると報告されているが、ミニトマトの場合は、5粒程度でほぼ同じ量のGABAを含まれている。すなわち、日常に少し意識すれば、より健康な食事摂取につながると考えられる。
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