研究課題
本課題では、フレイル高齢者の健康行動と環境要因に着目した研究を実施する。初年度にあたる2020年度の成果は以下の通りである。1.地理情報システム(GIS)を使用し近隣環境データ(人口密度や食料品店の数など)を得た。この環境データと郵送調査から得られた既存のデータとの突合作業は次年度へ持ち越しとなったが、次年度早々に完了する見込みである。2.フレイル高齢者の交通行動(歩行、自転車利用、自動車利用、公共交通機関の利用)の特性を明らかにした。フレイル高齢者は非フレイル高齢者に比べ、交通行動の制限が大きいが、この傾向は特に郊外や農村部といった主たる移動手段が自動車となっている地域において顕著であることを報告した(Abe et al., Int J Environ Res Public Health, 2020)。3.フレイル高齢者において、農作業、知的活動、社会参加している者は、それぞれの活動をしていない者に比べ、非フレイルへと改善しやすいことを明らかにした。また、同研究において、フレイル高齢者の5年後の状態として、50%は自立喪失(死亡または要介護認定)し、35%はフレイルのままで、15%は非フレイルへと改善していたという結果も報告した(Abe et al., Maturitas, 2020)。なお、2.3.の成果については、日本学術振興会特別研究員(PD)の研究課題と関連付けておこなわれたものである。
2: おおむね順調に進展している
近隣情報に関するデータセットを作成するという初年度の目的は達成された。次年度に既存の郵送調査データと突合をおこない、データセットの構築が完了する見込みである。
2年目にあたる2021年度は、郵送調査データと近隣環境データから成るデータセットを完成させ、当初の予定通り分析を進めていく予定である。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、初年度に実施予定だった、追跡調査に関する部分の調整が実施できなかった。同様に、研究を補助する人員の雇用にも影響が生じたため、当初の計画よりも初年度の支出が少なくなった。昨年度の残額を今年度に回すことで、補助員の雇用頻度を増やし、研究課題や最終年度に予定されている追跡調査の調整を迅速に進めることを予定している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)
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