研究課題/領域番号 |
20K13815
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研究機関 | 静岡県農林技術研究所 |
研究代表者 |
豊泉 友康 静岡県農林技術研究所, 加工技術科, 主任研究員 (60598960)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メロン / γ-アミノ酪酸(GABA) / シトルリン(Cit) / MA包装 / エチレン / 二酸化炭素 |
研究実績の概要 |
本研究は、メロンに高含有する「高血圧予防に有用なγ-アミノ酪酸(GABA)とシトルリン(Cit)含量を更に高める処理技術」と「この2種の機能性成分増加と保存性向上を両立する処理と貯蔵技術」を確立し、高血圧予防に繋がる機能を強化した新素材開発へと展開するため、以下を目的とするものである。 細目1:低酸素・高二酸化炭素下での処理温度の違いが2種の機能性成分含量へ与える影響の解明、細目2:低酸素・高二酸化炭素下での処理温度の違いが風味と硬さへ与える影響評価と喫食前処理条件の最適化、細目3:機能性成分増加と保存性向上を両立する貯蔵前の加工法の確立 2020年度(細目1)は、低酸素・高二酸化炭素下にできるフィルム(MA)でアールス系のメロンを包装した後、10から35℃で24および48時間処理し、果肉中のGABA、Cit、タンパクを構成する16種のアミノ酸および3種の糖の含量とグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)活性を、HPLC法等を用いて測定した。また、処理後のガス環境濃度(エチレン、酸素および二酸化炭素)を、ガスセンサーを用いて測定した。更に、得られた指標間の関係性は、主成分分析により評価した。なお、比較のため、大気環境下で処理した試験区も同様に評価した。 結果、メロンのGABA含量およびその合成誘導に関与するGADの活性は、MA包装することで未包装より大きく高まった。また、30℃以上の高温での48時間処理は、その含量および活性を更に高めた。一方、Cit含量は、20℃以上の処理条件下で増加したが、MA包装の有無および処理温度・時間の違いによる差はなかった。主成分分析により、GABA含量の増加はグルタミン酸およびアラニン含量の増加と関係があること、Cit含量の増加にはアスパラギン、グリシン、アルギニン、プロリン、チロシンおよびバリン含量の増加が関係することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、細目1のCit含量の増加機序について追加検討を実施しているが、それ以外は研究計画書に記載の内容をほぼ達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2021度(細目2)は、細目1と同様の処理条件がメロンの風味および食感に及ぼす影響を解明するため、分析・生化学的な手法を用いて評価を行う。また、細目1の実験結果と併せて、得られた多変量の関係性を主成分分析により可視化すると共に、GABAおよびCit含量を更に高める最適条件を明らかにし、最終年度の円滑な計画実施に繋げる。
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備考 |
研究成果の概要が静岡県農林技術研究所試験研究成果の概要集に2件掲載された。 ①豊泉友康、小杉 徹、池ヶ谷 篤、温室メロンの嫌気・好気処理による機能性成分・抗酸化能の変動評価(2021年3月) ②豊泉友康、小杉 徹、温室メロン未利用部の血圧降下作用の評価(2021年3月)
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